
ジョニー・トーと聞いただけで
スチール写真に銃を構える姿が映っただけで
アドレナリンが血管を逆流するかた。
あなたの欲求はこの映画で
すべて満たされます。
こんな文章、
読む必要はありません。
すぐに映画館に行ってください。
みんな言っていることですが、
もう
全編にわたって、
クールでドライです。
なにかに似ているなと思ったら
あれですね
「ザ・ドライバー」
僕のブログではよく引き合いに出される、
ウォルター・ヒルの傑作。
とにかく
感情が完全に排除され、
あるのは
職業倫理による行動のみ。
刑事は犯人を捕らえるために
容赦ないし
犯罪者は、
犯罪を日常として
遂行する。
そこに
疑いとか迷いはない
もし
そこに疑いや迷いという
感情があったとしたら
それは
真っ赤なウソ
演技。
ありきたりの感情の説明など
面倒くさい
これはひゅーまんどらまではない
アクション映画なのだ。
退屈、停滞は
致命傷だ。
あるのは行動のみ。
その行動の表現にトーさんの美学が光る。
他になにがいる?
もう50歳をはるかに超えたトーさん。
でも彼の映画は、
疲れない。
美学を持ったB級監督。
映画をとり続けることでしか生きられない
けして、
巨匠ではない素敵な人
まるで
岡本喜八。
1本の映画を撮るのに8年もかけない。
それどころか
いまだに
1年に2本撮る。
僕は
こんな監督が大好きだ。
腰の据わった巨匠も必要だ。
でも
こんな軽く、おしゃれで、
変幻自在な、じじいが
僕は好きだ。
さて
トーさんの50作目である
この映画だが、
止まらない。
一瞬も、とまらない
スピードがすべてである。
ドラッグ戦争の捜査を
とにかく
ディテールを細かく丹念に描く
そのテンポとリズムが、
観客の興奮と緊張を引き立てる。
主人公であるジャン警部が、
素顔のまま、演技で、
ミッション・インポッシブルのように
敵のドラッグリーダーを演じるが、
こいつが
僕の大嫌いな、意味もなく笑うバカ。
普段、冷静なジャン警部が、
いきなり
意味なく笑うバカに豹変するところは
もう見事。
それは
つまりジャン警部は、
常に、
演じながら
ドラッグに踊り殺しまくり
死にまくる
犯罪者たちを見る傍観者。
そして
相対する犯罪者であるテンミンは
もう生きる卑劣野郎
見ていていやになるような
ふたり。
でも
両方とも僕らです
人前では
意味なく笑って、
相手の地獄を見守る
自分に地獄が降りかかると
猛然の卑劣野郎になる
それを振り払う
その時の言い訳は
「仕事だから」
「家族のめだから」
そして
「酔ってた(ラリってた)から」
でも
結局は
死ぬんです。
みんな・・。
そんななかで、
聾唖者の兄弟。
もう最高です。
あえてどういうキャラか書きません。
見てください。