
もし僕が
アニメ監督を目指しているとしたら
この映画を見て
絶望するだろう
ここまでやられたら、
一体、
なにをすればいいのか?
この映画はとうとう
アニメの極北に達してしまった。
最高のスタッフで、
80億をかけて
やってしまった。
アニメな技術的なことは
わからないから
物語のほうのことを書くが、
この物語は
人生のどうしようもない救いのなさを
描いている。
希望も絶望すらも
どうでもいい、
人はなにもなさずに、
嘘と偽りと
欺瞞を続け、
死んでいく。
やりたくもない仕事
居たくもない場所にいて
言いたくもないおべっか
さらに一番、意味のないのが、
愛だ。
かぐや姫の無理難題は
なんの意味もない愛の告白に対する
報復。
顔も見たこともない
言葉すら交わしたこともない相手に
愛を誓う男たち
彼らの愛の誓いの言葉を
無理難題に転嫁するかぐや姫
その部分のシナリオは、
見事としかいいようがない
さらに、すごいのが、
かぐや姫を迎えくる、月からの使者だ。
彼らが奏でる音楽の
まあ、
場違いなこと。
KYの極致だ。
その造形から、
死界からのお迎えであることは確か。
でも、ほんとうに
彼らが奏でる音楽は、
あまりの場違いさに
唖然とする。
その場違いさは、
あの「ゾンビ」のラストで
スーパーマーケットでの音楽に匹敵する
もちろん
音にも鋭い感覚を持つ
高畑監督。
意図を持った場違いなのは明らか。
つまりは
死すらも、この監督にとっては
救いがない
いや、死が一番、
救いがないのだ
それどころか
お笑いである・・と
とにかく
あのシーンと
あの音楽は
見なくてはならない
あの救いのないシーンこそが
死の意味。
人間の最後。
よくもまあ、
こんな映画を正月にやるわ