
この映画を観てしみじみ思う。
映画好きでよかった。
この映画を観てしみじみ思う。
香港映画を観続けてよかった。
映画をたくさん観て
香港映画が好きであればあるほど
この映画は心躍る。
これは
香港映画のいままでの
歴史、
世界一の娯楽映画を作り続けた
香港映画のひとつの到達点。
「インファナル・アフェア」を観たときの
大いなる興奮が
再び
よみがえる。
これこそが
娯楽映画。
これを観ずして
娯楽映画を語るべからず
これに興奮せずして
香港映画を語るべからず
これは
歴史ドラマ。
時代の中で生きてきる人々の物語。
辛亥革命前夜、
中国の未来を憂えて立ちあがった名もなき義士たちと、
孫文を亡き者にしようとする暗殺団との死闘をダイナミックに描く。
この宣伝の文句そのままの映画
「ボディガードたち アンド アサシンたち」
英語タイトルそのままの映画。
ところが
前半は派手な戦いのシーンはほとんどない。
なにが描かれるかといえば
新聞社社長で中国同盟会の香港支部長・シャオバイ(レオン・カーファイ)と
革命を支持する大物実業家・ユータン(ワン・シュエチー)
そのまわりで生きる名もなき人々の普通の生活と心情。
親を慕い、子を思う彼らの心情が
丹念に描かれる。
そこに
孫文の来日という
革命という
世情が忍び寄る。
国を思い
未来を思うその世情の気持ちも
彼らにはある。
しかし
世の常として
心の情と
世の情は
つねに悲しく離反する。
革命が
戦いの末に勝ち取るものならず
そこに常に死がある。
国の未来のために
命を捨てる
それは理想。
理想は理想。
でも、
人間は理想の中ではなく
現実の中に生きる。
好きな人と結ばれて
愛する子供と一緒に遊ぶ。
そんな現実こそが
人の情
革命を支持する大物実業家・ユータンは
革命の義を理解して
資金を提供する。
しかし
息子にはそれに参加して欲しくなかった。
親として・・。
しかし
理想に燃える若き息子、チョングアン(ワン・ボーチェ)に、
父としてなにを言えばいいのか?
革命に背を向け、
逃げて
卑劣な男になれ・・とはいえない。
しかし
死んで欲しくはない。
ユータンにはわかっていた。
どれだけ
理想をかかげていようとも
革命の果てには死の危険があることを。
だから
この映画の全編に渡って登場する実業家、ユータンは
常に悲しい目をしている。
革命に燃える生き生きとした目ではない。
行動しながらも、
まわりにいる理想の人々を悲しげに見つめる。
孫文来日の前夜、
ユータンは
路上生活者のリウ(レオン・ライ)に向かって
心の底からうめき叫ぶ
「私は、明日、嘘をつく!!」
もし人が
情の心を持っていれば
革命を鼓舞する言葉など嘘だ。
卑劣でも
最低でも、
なんでもいいから
この場から逃げてくれ。
逃げて生き残ってくれ・・。
でも、
それはいえない。
国を思い
未来を思うなら
すべての登場人物を丹念に描くことで
すべての人物か魅力的に映る。
観ているこちらは
誰も死んで欲しくはない・・と思う。
そんな気持ちをたっぷりと盛り上げたところで
物語は
後半に突入する。
「ボディガードたち」と「アサシンたち」の
死闘に。
この流れこそが
歴史ドラマの醍醐味だ。
ここからの
描写はもう容赦しない
理屈ぬき
迫力と過激を持って世界を制した
香港映画の
意気が
息が
粋が
生きが
爆発する!!
つづく