
あなたは、善い者ですか?
悪い者ですか?
そう聞かれれば
大抵の人は
悪い者と言うだろう。
それは
自分が善い者なんて言えるのは
うぬぼれ屋か
バカだ・・・と思っているから。
それは
つまり
人は善と悪が
なんであるかをわかっていないからだ。
それは
つまり
親が、善と悪をちゃんと教えていないから。
つまりは
わかっていないことを教えられるわけがない。
親は当然、
自分の子供は善人であれと思う。
しかし
その善に、
親は自信がない。
いまの時代に
自分の、善の確証が、心にある大人などいない。
心に確証がないことなど、
どれほど伝えようとしても
伝わるわけがない。
当然だろう。
地獄のような
暴力世界で
親が子に
善い者であれ・・という。
それは
ある意味、
限りなく子供を危険に、死に近づけることになる。
なぜならば
地獄の世界で生きている人間は
圧倒的に、悪い者が多いわけだから、
そいつらから身を守るためには
悪にならなくてはならない。
なんか
新しい「仮面ライダー」のストーリー説明みたいに
なってきたが、
これこそが
この映画のテーマであり、
この映画の主人公である親子が
戦ってきたものであり、
いまの時代に
問わなくてはならない問いであると
思うのです。
この映画で
少年(役名はない)が、
ずっと生きる縁(よすが)としていたのが
この「善い者」である。
自分の父親は、善い者である。
少年にとって
父親が世界であり、
それは
どんな世界の子供にとってもそうである。
少年が
大人になる瞬間というのは
自分の父親も、
世界の一部である・・と認識する
悲しい瞬間であり、
それまでは
少年にとっての世界は
父親のみであると言っても
言いすぎではないだろう。
少年にとって、
父親が
善き人であれば
どれほどの飢えを体験しようとも
世界は、善い世界であり、
父親が
悪い者であれば
どれほど満腹な日々であろうと
そこは
悪しき世界であるのだ。
親になるというのは
きっと
善いと悪いを無理やり仕方がなく
心に問いかけなくてはならない・・・ということだろう。
次回からは
具体的な映画のストーリーに沿って
感想を書きます。


