232 「世界最速のインディアン」 完璧に完成された映画だけが、魅力的なわけではない。 | ササポンのブログ

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「13デイズ」「リクルート」のロジャー・ドナルドソン監督が
製作・脚本・監督を兼ねた意欲作。
「ゲッタウェイ」のリメイクや
ケビンコスナーの作品など
恐らく
想像するに
色々な意味で
妥協や制約を受けて監督したことが
数多くあったであろう。

なぜ、
そんなことを書くかと言えば
その辺の苦労の末の
この作品への思い入れが
良い点でもあり、
ところによっては
悪い点にもなっているのだ。



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物語は、
死ぬほど単純である。

1962年、バート・マンローがスピード記録を出すために、ライダーの聖地であるボンヌヴィルの塩平原(ソルトフラッツ)に挑戦した実話

それだけである。

本当にそれだけである。

それだからこそ、

この作品に対する
監督の姿勢が
よくわかる。

とにかく
リアルにしたかったんだろう。

実話を
出来る限り
忠実にしたかったのだろう。

ただ
そこは
娯楽映画を撮り続けていたドナルドソン監督。

やはり最低限の映画としての
おもしろさ、は、入れようとしている。





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まず
この手のカー映画でかならず入ってくるのが
ライバルによる露骨な嫌がらせや
妨害工作。

それが
徹底的に排除されている。

とりあえず
この主人公に降りかかってくる困難な状況は
すべて
手続きのミスとか
大会の規約に合わない・・とか
そういう
リアルな困難ばかりである。

つまり
まわりは善意のひとなんだけど
規則だから・・と。

大会の会場にいくまでの
困難も、
資金不足による、
雑多なトラブルばかりで
そこに
いかにもよくあるリアルじゃない状況はない。

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ただ
悲しいかな
リアルにしようとすればするほど
映画的な盛り上がりは
薄くなる。

たしかに
記録達成するか、しないかの
ラストは盛り上がるが
そこまで
観客を引っ張っていく力が
やや不足してしまう。

ときどき、
僕が書いている
映画を盛り上げるための
毎度おなじみのシーンやエピソードというのは
たしかに
リアルは減速させるし
映画を見過ぎている人間は
「またはじまった・・」と思ってしまう。

ただ
それを意図的に
なくしてしまうと
これが
実に
映画的な盛り上がりにかけてしまう。

痛し痒しとはこのことである。

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リアルな描写と
現実の映像とは
当たり前のことだが違う。

どれだけ
アンソニーホプキンスが
リアルに演じても、
演じていることにはかわりない。

かと言って
いかにもいかにもという
エピソードが羅列されると
「スピードレーサー」のように
総スカンを食う。

さらに言うと
この映画のラストで
いきなり
映画的盛り上がりを意識して
リアルが減速してしまう。

ここからは
ネタバレしますので
見ていないひとはご遠慮を



ペタしてね
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つまり
なぜ
ハイテクな他の車より
この主人公のバイクが
スピードを出せたか・・という具体的な説明がない。

どうして
この状況において
彼のアナログなテクニックが
上だったか・・という説明がない。

だから
あまりにも、
新記録達成の描写が
夢物語的になってしまう。

実際は
新記録を出したのだから
その辺の理論的な説明が欲しい。

さらにいえば
300キロも出しているバイクが
ブレーキもパラシュートもなしに転んで
あの程度のバイクの損傷で済むとは
とても
思えない。


ただ
本当に
そういう細かい問題点がありつつも
監督のやろうとしているリアルな娯楽映画への姿勢
それを
より具体化した
この映画。

僕は
とても魅力的だった。

完成された映画だけが
かならずしも
魅力的なわけではない。


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