「すべての美しい馬」 Ⅱ | ササポンのブログ

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見かけがどうであれ、わたしはとくに古風な女というわけではありません。
わたしたちは、ここで小さな世界でなんとか暮らしています。
閉鎖的な世界です。
(甥の)アレハンドラとわたしは考え方がまったく違います。
鋭く対立しているといっていいでしよう。
あの子は同じ年頃のわたしにそっくりだから、
ときどきわたしは昔の自分と闘っているような気がするほどです。


わたしには忠告してくれる人がいませんでした。
いてもわたしはいうことをきかなかったかもしれません。

わたしは男の世界で育ちました。だから大人になっても
男世界で生きていくのだろうと思ったけどそうはならなかった。

おわかりかしら
わたしは、結局のところアレハンドラに共感を覚えずにはいられないのです。
あの子が最悪のわがままをしているときでも。
でもあの子を不幸にするわけにはいきません。


わたしの経験では
苦労が人間を慈悲深くするとはいえないようです。




大きな傷を負って苦しむ人間は
お互いに特別な絆で結び付くといいます。


コーマック・マッカーシー著
黒原敏行訳
「すべての美しい馬」より



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