
珍しく本の話。
と言っても映画の本。
映画の魅力について語った本
監督のインタビューをまとめた本
一本の映画の製作におけるゴタゴタを綴った本
映画について書かれた本数あれど
これはそのなかでも
群を抜いた奇跡の本
質、量、そしておもしろさにおいても
他に類をみない
ある意味、かなりキチガイじみた本です。
血管に流れる血液も
細胞もすべて映画でできている、
世界一の映画の語り部、淀川長治
その淀川さんの脳みそに詰まった
映画の知識を、
出来るだけ多くひっぱりだそうと試みた
これも
映画知識の化け物ふたり
蓮實重彦と山田宏一
それぞれひとりだけでも
立派な映画の語り部なのに
そのふたりが
よってたかって淀川さんに
映画のことを聞いて聞いてききまくる。
もうほとんど
黒澤明の脚本家チームのような豪華さだ。
出てくる映画は1000本以上
しかし
恐らく僕は
その9割は観ていない。
いまを生きるひとのほとんどが
そうだと思う。
しかし
その話が無類におもしろい。
観ていない映画なのに淀川さんが話すと
観た気になり、傑作になってしまう。
映画監督のダニエル・シュミットが
淀川さんから昔の溝口健二の映画の話を聞いた後
驚嘆しながらこういったそうだ。
「なんだ、これは・・。わたしは、この映画を観たような気になったぞ」
それも通訳を通して聴いたのにもかかわらずだ。
僕は
生意気にも
ブログに
映画について書いている。
なるべく真摯な態度で書こうとしている。
それは
こういう凄い人たちがいるからだ。
とてもじゃないが
こういうひとたちの話を聞いたり
本を読んだりしていると
知ったかぶりなんかできない。
利いた風な口なんかきけない。
とにかく
この3人がもうよってたかって
自分の知識をしゃべりにしゃべりまくる。
呆れて唖然として、わくわくする。
単行本にして700ページ強!!
あますことなくぎっしりと映画のこと。
まず映画ファンなら一生、枕もとに置いておきたい本。
しかし
用心したほうがいい。
読み出したら止まらない。
読みだしたら眠れない。