92 「ブリット」  すべてがマックインのかっこよさのために存在する。 | ササポンのブログ

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ひとを観ていないものを観ます


今回も、マックインと表記します。これは僕のこだわりですからお許しを・・。


正直、この映画に関しては
語るのは難しい。
もしこの映画が素晴らしいと書いたら、
僕がここまで細々と書いてきた
映画というものに対する考えた方を
根底から否定しなくてはならないのだ。



この映画の脚本を読んで
監督のピーター・イェーツはあまりのひどさに
頭を抱えたという。

この映画の脚本を持ってきたのは
マックインであり、
この映画全体を取り仕切っているのも
マックインだ。
脚本を変えるのは不可能だ。
正直
この脚本は簡単な手直しで修正できるような代物ではない。
根底から
書きなおさなくてはならない。
しかし
それができないとなれば・・・。
ピーター・イェーツが取った手は
この映画をマックインのプロモーション映画にしようと・・。





マックインというひとは
徹底的なナルシストだ。
役者なんてみんなそうであるが
このひとに関しては
それが
徹底的である。
だから
自分がどういう格好で、
どういう仕種でスクリーンに映れば
かっこいいかということを
完全に熟知している。

イェーツ監督が
それをさらに増幅させるために
なにをやったかと言えば
画面の構図、レイアウトを徹底的に凝った。


映画のシーンを並べてみたが
マックインが出ているシーンは
極端に横構図の画面が多いのに気がつく。

ひとを真正面において話すのではなく
横に並べて話をさせる。
そうすることにおいて
マックインは
ひとと話しているのに
独り言をいっているように見える。
観客も
マックインだけを観ることができる。

この映画のカーチェイスに関して
いまさら僕が書いてもしょうがない。
僕は免許を持っているが
車は乗ったことがない。
だから
専門的なことは言えない。

それに車に詳しい人が
ありとあらゆるところで
論じているのでそれを読んでもらえればいいと思う。
そのシーンが
色褪せないことも
観た人ならすぐにわかる。




マックインのもうひとつのウリでもある
ガンアクションに関して言えば
これは完璧であるといえる
銃を構えるマックインを
一番、かっこよく映る角度で撮っている。
これは
なかなかできるものではない。
あの空港のシーンで
最後に犯人を仕留めるところなど
ガンアクションの歴史に残るシーンだろう。

これまで僕の映画評を読んだことがあるひとなら
わかると思うが
いつもクドクドとやっている物語の分析を全然やっていない。

この映画に関して
物語を語ったら批判しかできない。
イェーツ監督が頭を抱えたのもわかる。
あの傑作「華麗なる賭け」の脚本を書いた
アラン・R・トラストマンが
どうしてこんなにひどい本を書いたのか・・。
とにかく
僕はこの映画をもう5回以上も観ているのに
いまだに
話がよくわからない。
伏線は張ってないし
この手の映画の生命線である事件の説明の仕方が
まるっきりなっていないのだ。
この映画の脚本は
だめの見本といってもいい。

そんな映画を素晴らしいと言ってしまったら
いままで
ひつっこいほど
映画における脚本の大切さを語ってきた
僕のいままでの映画評を否定することになってしまう。

でも
この映画は素晴らしいんです。
なぜなら
マックインがかっこいいから。
どの映画より
かっこいいから。

そして
それを表現するために
この映画のすべてが存在するんです。

のちに自分の演技者としての評価をあげようと
「民衆の敵」を作ったりしたが
そんなのがうまくいくわけありません。

マックインはマックインでしかなく
それ以上でもそれ以下でもないんです。
だからこそ
スターと呼ばれたのです。

少年時代の僕たちが
憧れたマックインです。

そんなマックインの最高のプロモーション映画が
この「ブリット」です。