
そりゃ、理屈だって、ご託だって、いくらでも書けるよ。
好きなんだもん。いくらでも、あてもなく
居酒屋のうざい、おやじのように、
どれだけでも、書けるよ。
でもさ、本当に、彼の姿だけで、わかるでしょ。
本当に
かっこいい。
かっこいい男ってのは、
こういう男

岡本喜八
喜劇、悲劇、時代劇、ミュージカル、SF、ギャング映画から風俗映画
山本周五郎も山口瞳も
オールスターキャストの超大作から、
ATGのアートフィルム
感動の名作から
唖然とするカルト作まで
何でも撮るよ
すべて僕流だけどね。

東宝の黄金期を支えた大巨匠
でも黒澤明にはならなかった。
なれなかった。
一流は嫌い、自由がきかないから。僕は二流がいい
喜八談

終戦近い中国を舞台に、日本軍各隊の落ちこぼれを集めた警備隊が中国戦線で部隊の不正を暴いていく痛快戦争映画。彼の西部劇好きが炸裂した、この映画がヒットして、続編も作られた。

昔気質のヤクザ組長・大名大作(伊藤雄之助)が3年ぶりに出所し、自分のシマに戻ってみると、そこは新興ヤクザの矢東(中谷一郎)に乗っ取られていた。怒りに燃える大作は、子分志願者の太郎(砂塚秀夫)に万年筆型の爆弾を作らせ、矢東を殺す計画を立てるのだが…。
主人公ヤクザ側には和楽、対する新興ヤクザ側はジャズといった区分けで展開する、ミュージカルという斬新さ。こんなことを考えて、実行してしまう軽さ・・。
それが岡本喜八だ。
それにしても、黒澤の「椿三十郎」でもギャグにされた伊藤雄之助のこの顔。
凄いなあ。最高だ。
女性を描けないと言われた黒澤明に比べて
さすがモダンの喜八、女性を生き生きと描き、
女性のファンも多い。
彼にとって、女性は菩薩である。
まったくの菩薩である。
力強く、土の匂いのする
まったく菩薩様である。
それは男が、最も必要としている、
完全に、ひれ伏してしまう女性像だ。
30本近くある彼の作品のなかで
僕が最も好きなのは、これです。
またいつか書きます。
たっぷり時間をかけて・・。
プロデューサーでもある奥さんとのおしどりぶりは、有名。
先日再放送された、ふたりのドキュメントから、エピソードを。
末期がんで、ほとんど寝たきりになった喜八監督が、近くで看病をしていた娘さんに言った。
「オレ、恋しちゃったんだ」
「へええ・・誰に?」
「今、犬の散歩に行ってるひとなんだけど、帰ってきたら告白したいと思うんだ。どう思う?」
犬の散歩に行っているのは、もちろん奥さん。
娘さんは、「ふたりはもうベストカップルです。」という。
娘に、ベストカップルと言われる夫婦。
モダンです。
本物の昭和モダン。
