かみのげ食堂 町中華 カレー レトロ ラーメン | 笹郎(ササロー)のゆるゆるご当地コラム

笹郎(ササロー)のゆるゆるご当地コラム

東京都渋谷区笹塚の応援キャラクターの笹郎(ササロー)の
地域の魅力再発見!をテーマにご当地を紹介するエッセイ的コラムです。
たまに趣味のやつも。

右斜め+L+R+L+R+L+L+R+R+Aな視点でゆるっと紹介する
ゆるゆるご当地コラム…始まるよぉ!

上野毛にある古本屋に欲しかった中古CDが入荷した。

 

入荷したはいいけど。あれ、どこだっけ。上野毛って。

上野って書いてるけど上野じゃない。野毛って書いてあるけど野毛じゃない。

ああそうか、世田谷区の上野毛か。

 

確か都内で唯一の渓谷がある、等々力渓谷の近くか。

直線距離としてはそこまでの距離だが、公共交通機関で行くと

結構大回りしないと目的地には行けない。

 

京王線だと縦に弱い。

練馬~中野~笹塚~下北沢~三軒茶屋~自由が丘を経由した縦に走る電車がやはり欲しい。

 

う~ん、とりあえず笹塚から自転車で茶沢通りを南下し、三軒茶屋まで行いこう。

三茶から電車で二子玉川まで行き、大井町線に乗り換えればすぐだ。

これならば、移動も早い上に健康的じゃないか。

うんうん、我ながら完璧な作戦だ。

 

 

実は初めて来る、上野毛。

いいね。ご当地コラムニストの血が騒ぎますよ。

 

へぇ、駅舎がユニークな形でいいなぁ。

上野毛通り方面口と正面口が巨大な屋根で繋がっており、見上げると

半地下に大井町線はあるのに高架上の駅のような迫力があるのが、とても面白いと感じた。

 

街並みも良い。

中野や浅草、赤羽とも違う下町感がそこにはある。

世田谷区は一軒家が多く、ビルやマンションなどの高い建築物が少ないせいか

なんだろう、世田谷に来ると世田谷だなって感じる。これは著者だけか。

 

そんなこんなで上野毛通りを北の方にちょいと歩いて行くと、早速目に付く飲食店が。

“中華・定食 大衆かみのげ食堂”の文字。これはピンっと来るものがありますね。

 

大衆という言葉には、めっぽう弱い。

大衆割烹に大衆居酒屋に大衆食堂。全部弱い。

何故、弱いのか。それは私が大衆の一部だから惹かれるのか何なのか。

 

なんだろう、やはり飲食店とは言えど、赤の他人の住居にお邪魔するという事になる。

そこに“大衆”という言葉が添えてあると、敷居を低く感じるんだと思う。

誰でも受け入れてくれる安心感、懐の深さをこの2文字に感じているのではないか。

 

と、真剣に考えつつも樽ハイ倶楽部の旗を見る。

ああ、飲みたい。

 

 

お、これはありがたい。

店頭にお品書きがあるのはとても助かる。

 

店内に入ってから、お品書きを熟読すると、時たまプレッシャーを感じる事がある。

あの圧を感じながらの時間は焦りで判断が鈍ってしまい

食べたい物がなんだか分からなくなる。

 

中華のお店という事で、ここは中華に絞ろう。

 

と思ったが、お品書きに書かれた熱い文言を見つけ、それどころではなくなった。

 

『 !!食べりゃわかる!! 』


店主の自信に満ちた一言。急にどうした。

“多くは語らない 己の舌で確かめて その答えを導き出せ”という事か。

その横には“当店の一押し 牛筋カレーミニラーメン付 900円 一度食べてみて”

と、またもやエネルギーに溢れた言葉が添えられている。

 

食べりゃわかる!一度食べてみて!

 

この意気込みコンボに心打たれた。よし、これだ。

 

 

お店に入ると高齢の店主のいらっしゃいの声。ああ、いいね。

 

店内はカウンター席とテーブル席が数席。

良い感じの年季の入り具合とひなびた感じが、どこか安心感がある。

そして、壁には手書きのお品書き。これだよ。

 

カウンター席に案内される。

 

何を頼むか既に決めていたので、常連の如く流れるように注文。

牛筋カレーでお願いします。

 

はいよーカレー入るよーの掛け声。これも、いい。

 

待っている間に店内を見回してみる。

そうすると、お品書きと共にサイン色紙も多い事に気づいた。

ほほう、著名人にも愛される食堂なんだなぁと思ったその瞬間。

 

…スラムダンクの色紙置いてない?

 

安西先生に桜木花道の絵。

 

…井上雄彦先生ぇぇええ?!!?!?!?!?!?!

 

まさかのとんでもない色紙にちょっと声が出そうになった。

後で調べてみると、井上先生、結構訪れてるんだってね。

 

 

早くも到着。

 

おお、専用の器!店名の“上のげ”の文字入り。

電話番号入りなのもレトロで非常に泣ける。

 

食べなくても分かる、この牛筋カレーのどろっと濃い感じ!

もやしにちょびっとワカメのミニラーメン!

 

家庭と外食が入り混じる、この組み合わせ。

いただきます!

 

 

これは凄いな。食べるとホント分かっちゃうよ。

一口食べると濃厚過ぎる牛味が舌にまとわりつく激ウマさ。いや、激ギュウさ。

牛とカレーが合わさって、濃度200%なコクの強さがとても良い。

 

ルーは肉感少なく、舌触り滑らかで、ひたすらドロッと重美味い感じがある。

牛筋が一体となるまで深く煮こまれているんだろうなぁ。

 

牛と油感が強いのだがビーフシチューのような感じではなく

遅れてやってくる家庭的なカレー味のお陰で意外と口当たりが軽く

ああ、ちゃんと牛筋カレーだという感じなのが面白かったりする。

 

そして、見た目以上に盛りが良い。

普通のお店の並盛りより、1.5倍近くはあると思う。

この濃厚な味を長い時間味わえるのは幸せかも。

 

 

目立たないように隅っこに陣取ってるミニラーメン。

もっと前に出なさいよ。主役級の味なんだからもう。

 

あれだけ濃厚なカレーに対して素朴さで対抗し、それでいてキチンと存在感を出す

昔ながらの醤油味。これがまたウマい。

 

そうだ、昔ながら。急ですが、書きながら思いました。

 

どうも“昔ながらの味”という言葉を安易に使いがちですね。

具体的にどの部分がノスタルジックなのか説明になっていないが

書かれていると妙にしっくりくる言葉。

また読み手もボンヤリとした懐かしいを思い浮かべる。

書き手、読み手、双方において便利な言葉、それが昔ながらの味。

 

ですがね、ここの醤油ラーメンを食べるとですね。

その日から、こういう感想に切り替わります。

 

“あれだけ濃厚なカレーに対して素朴さで対抗し、それでいてキチンと存在感を出す

かみのげ食堂の醤油ラーメンような醤油味。これがまたウマい。”

 

あのフワッとした“昔ながらの味”って、実は“かみのげ食堂の醤油ラーメン”の事だったんだと。

気づかさせる、そんな味です。

 

いや~満足。ご馳走様でした。

ここの大衆の意味は大衆を熱狂させる味、という意味だったのか。参ったな。

満足した。それでは帰ろう。

 

あ、いや、そうだ。CDを買いに来たんだった。

 

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【お店情報】

中華食堂上のげ

 

住所:〒158-0093 東京都世田谷区上野毛1-18-10

電話:0337026200(予約不可)

営業時間:月・水~日:11時30分~21時00分(15時~17時に昼休憩有り)
     火:定休日

※支払いは現金のみ

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