バーバリーのコートの染め替え事例 | 「着物をもっと身近に」染太郎のブログ

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札幌で着物のしみ抜きや染色などをおこなう悉皆屋(しっかいや)野口染店舗の5代目染太郎です!「着物をもっと身近に」をモットーに日々奮闘中!!

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洋服の染め替えプロジェクト

次の事例のご紹介はバーバリーのコートです。

 

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◇バーバリーコートの染め替え

 〈黒へ染め替え〉

 

コートは裏地が付いているものが多くあります。

 

表地と裏地の素材が違う場合は、染めた後の縮率が変わり型崩れが生じる可能性が高いです。

 

また、ドライ洗濯表示がされているものは水で洗っていませんので縮み幅が大きくなります。

 

そのようなリスクが高いコートの事例をご紹介します。

 

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ご依頼いただいたバーバリーコートの素材表記は綿100%です。

(袖裏の表示は記入されていませんでした)

 

染める前に事前に水に濡らすのですが、生地に強力な撥水加工が施されていました。

(さすがバーバリーのコートです!)

このような場合は染料が浸透しやすいように溶剤を使い染めるのですが、ムラになる場合があります。

 

Before

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洋服の染め替えは高温で衣類を動かしながら一点一点、手作業で染めていきます。

 

染色後はすすぎを繰り返し、色止めをおこない乾燥室でゆっくりと乾かします。

(色止めはおこないますが色落ちは完全に防ぐことはできません)

 

染めた後がコチラになります。

 

After

 

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心配されたムラに関しては事前処置の効果で綺麗に染まりました。

 

裏地も綿素材でしたので綺麗に染まっていますが表と裏地の生地が違うため縮率が変わっています。

 

身丈が約1.5㎝、袖丈が約1㎝ほど縮まりました。

 

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また、上の写真のようにボタンが温度に耐えきれず割れてしまいました。

 

Before

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After

 

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付属されていた腰に巻くベルトの金具に革が覆われていました。

 

革素材は必ず縮んでしまったり、溶けてしまう場合もあります。

 

また、乾くと固くなる傾向があります。

 

事前にご承知いただいて作業に入らせていただきます。

 

今回は金属の色が変わったことと、革部分ががっちりと縫われていたので多少の縮みと革が固くなる状態になりました。

 

染め替えは衣類に大きな負担がかかります。

 

生地の傷みや破損、型崩れ、引きつれ、付属品の腐食・劣化、染める前には見えなかったシミが出てくる

など、染める前には予想のできないことが起こる可能性があります。

 

染める前に戻すことは不可能ですので、事前に◇加工に入る前の注意事項をご確認ください。