「おともだちパンチ」ってのは、
夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)/森見 登美彦

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森見登美彦さんの「夜は短し歩けよ乙女」の主人公黒髪の乙女の必殺技なのですが。
拳を作る際に、親指をこっそり拳の中に隠すという、ただならぬ愛のこもったグーパンチのことなんだけど。
小さい私のジャンケンのグーは、絶対に「おともだちパンチ」でした。
友だちが鉄拳のグー(親指を外に出して、その他の指を固定させたグー)でジャンケンをしてる中。
私は「おともだちパンチ」のグーでした。
「手の中に何か入っている方が、力が入るから」という理由。
ただならぬ愛はどこへやら。
私のジャンケンのグーを見た父は、
「お前、もし良からぬヤツが現れたときにそのグーじゃ、親指を負傷するぞ!親指は出せ!!」
と言い放ちました。
当時、小学生の私に向かって。
私の父は、そういう父で。
自分の身は自分で守れ、と、よく人間の急所を教えてくれるのでした。
自分の身は自分で守れ、と言うワリに、格闘技などなどを習わすことはせず。
恐ろしく力の入れ所を間違ったような話をよくするのでした。
そんな話は置いといて。
いつからか、私のグーは「おともだちパンチのグー」から「鉄拳のグー」へ変わりました。
それに最近気付きました。
親指をひっそりとひそめる愛はどこかへ消えたそうです。
お父さん、これで良からぬ人が現れたときに、親指負傷することなく鉄拳をお見舞いできるよ!
ま、へなちょこぱんちですがね。