究極の見台 | ささのブログ

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近所の公園に隣接する遊歩道に、こんな横断幕がある。新しいものではなさそうだが、コロナが始まって2年くらいはなかったので、ここ1年くらいで立てられたのだろう。マスクはもういいだろう、という雰囲気になっている昨今、いまだにこんな掲示があることが不思議。

 

演奏家が楽譜を置くスタンドを「譜面台」というが、日本の古典音楽の場合、正座やあぐらで演奏することが多く、背の低い、専用の譜面台を用いなければならない。我々はそれを「見台(けんだい)」と呼んでいる。市販されている見台でもっとも普及しているものは、箏曲用の分解出来るタイプ。ただ、これは製本された楽譜しか載らないし、「箏曲」のイメージが強いので、私の所属する雅楽団体では使わない。

 

自作の、たたむと厚さ2.5mmになる、究極に薄い見台をこれまで使ってきた。角度も変えられるし、壊れるところが無く、客席から見てもなかなかかっこいいので重宝してきたが、一つだけ問題がある。それは高さ。楽譜を置く下辺が、床面に近いのでどうしても目線が下がるし、距離が出来て見づらい。

 

古典曲の場合はほとんど暗譜しているので、これで問題がないのだが、問題は現代曲。基本、五線譜で書かれていて、加齢により細かい音符を読むのが年々辛くなってきている。大編成の曲などは、スコアで書かれているため、そもそも五線譜の幅がものすごく狭い。見台に少しでも高さが欲しく、練習の際はセミハードのブリーフケースなどを下に敷いているのだが、もちろんこれでは本番には使えない。

 

高さがある程度あり、角度が変えられ、客席からの見た目が良く、持ち運びの際にかさばらない見台はないものか、とネットでかなり探したのだが、これと言うものが全くない。そこで、ノートパソコンやタブレット用のスタンドの流用を考えた。これならば、角度は変えられるし、折りたためば小さく薄くなるものがほとんど。値段も割合安価だ。

 

だが、それも帯に短したすきに長しで、なかなか「これだ!」というものがない。だが、ようやく「これしかない!!」というタブレットスタンドを発見。アーム部が2重になっているので、最大に伸ばせばかなりの高さになる。アルミフレームで見た目もすっきりしている。早速購入して使おうとしたら、楽譜を載せるには大きさが全く不十分。これはひと手間かけなければならない。

 

黒く塗装したA4のMDFボードを縦に二つ並べて、得意の本革の蝶番で連結。これでたいていの楽譜は問題ない。もっと大型の楽譜の場合は、その大きさに見合ったボール紙を敷けばいい。スタンドのホルダー部との連結には、こちらも本革を使用。MDFで作ってもいいのだが、その場合、折りたたんだ際に厚くなってしまう。鞄に入れて持ち運ぶので、厚みは極力避けたいので、革を選択。

 

結果はばっちり。安定性に優れ、持ち運びも楽な、ツーパーツからなる究極の見台が完成した。これまで、2度のコンサートに使ったが、実使用において全く問題ない。最大で床から20cmほどの高さを稼げるので、かなり見やすい。シニアグラス+この見台で、まだまだ現代曲の初演演奏が続けられる。