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燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)/司馬 遼太郎
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先日に引き続きましてまたもや司馬遼です。
今更ですがちゃんと読みたかったんですね。
やっぱおもろい。
新撰組の魅力はこの名作に描きつくされていますね、きっと。
ここんところ、難し過ぎる歴史の本を読み漁ってたんですが、やっぱりこういったエンターテイメント性の高い歴史小説から定説を学び、自分なりに咀嚼するのも悪くないなと思うんです。
司馬遼はうってつけです。
しかも幕末はね。
ちょうど今年の大河ドラマ「八重の桜」は会津を中心に描いていますしミーハー的に良い機会やからあらためて幕末を自分なりになぞってみたいんです。
新撰組。
かっこいいね。
確かに土方も近藤も沖田も「時代の子」だ。
彼らの青春そのものが幕末という日本の青春と被るのだ。
今やってる大河「八重の桜」では、新撰組の斉藤一をドラゴンアッシュの降矢さんが演じられてます。なかなかいいんじゃないですか。本人も楽しんで役つくりされてるんじゃないですか。
この前は池田屋騒動で、ツイッター眺めてたらやはりみなさん盛り上がって御覧になられてたようです。
大河ドラマでは会津目線なので「おいおい、お前らやりすぎやろ」ってな新撰組の描かれ方も新鮮でした。
さて、「燃えよ剣」。
こちらは新撰組副長、悪党ばらがきの歳こと土方歳三が主役です。
もう、この司馬さんが描ききった土方、新撰組が決定的でしょうね。
土方のクールでプライドが高く、一匹狼のようだが仲間を信じ、組織の中での自らの役割と野望をきちんとしたたかに実現させ、最期まで己の武士道を全うした。
土方の組織マネジメントは秀逸だったのでしょう。
常に近藤を立て、自らはNO2のポジションで実権、権限を握り、組織運営の舵取りを支配する。
また、土方の戦術家、戦略家としての資質は天才的であった。
それを全面的に信頼し、理解、実践できた沖田総司。
退屈を持て余していた幼馴染で結成したような新撰組の中核の絆は本物だったのでしょう。
故に、隊内での暗殺、陰謀も、単なる権力闘争ではなく、切実に彼らの信じる武士道を全うするための必然であったのでしょう。
大きな歴史の転換、うねりの中で、どれだけ彼らがその事実に自覚的であったかは知る由もありませんが、司馬遼太郎の言うようにやはり「時代の子」であったのです。
土方は、函館での最期まで、新撰組を全うします。
この姿に明治維新後の世界に生きる我々は感動せざるおえません。
維新の意味とか、そんなことはどうだっていい。
その時代を生ききった男のロマンだけでいい。
創作のお雪を弔いとしても、土方の晩節、近藤や沖田の亡霊と邂逅するシーンが訪れます。
戦士の魂は、やはり最期は仲間のもとへ導かれるのです。
個人的に一番泣いた場面です。
たれもが時代に翻弄される。
新撰組の連中は、戦後に生まれ変わったら、きっと、ロックバンドやってたと思います。