
藤原基央は天才シンガーソングライターである。
まず声。
バンプがブレイクする以前は、男性シンガーのキー、ぎりぎりで歌うスタイルが多かったと思います。
例えばミスチル。
スピッツは楽に歌っているようで、実は相当高い。
女性でも浜崎あゆみとか倖田來未とか、キンキンの高い声で歌うスタイルが多かったと思います。
なんか、突き刺すような声で。椎名林檎とか。
バンプの藤原君の声は、低く響く声がとにかく新鮮でした。
因みにバンプはチューニングが半音下がってるからね。
本人たちいわく「好きだったバンドに半音下げのバンドが多かったから」と言ってますが、具体的に言うと、ザックワイルドとか、なんかアメリカンハードロックのバンド言ってた。
話をもどす。
男性シンガーで、低く響く歌い方は、スーパーカーとかくるりなんかの影響があったかもしれないですね。
あんまり張った感じで歌わず、地声を響かせて。
しかし、藤原基央の声は恵まれすぎている。
喉仏も大きい。
やっぱりボーカリストの資質は「声で」8割以上は決まる。
しかも、やはり、歌がうまい。
そして、毎回、本気で歌う。
生き死にを賭けたように。
しかし、歌詞の言葉たちは、普遍的な、ありふれた言葉で、これでもかとココロのドアをノックしてくる。
歌詞の解釈はリスナーそれぞれやと思います。
人によっては「ちょっと、辛いかな、厳しいかな」てな感想も聞きます。
そうです。
バンプは陽性な印象でポップなイメージで、実際、わかりやすいロックバンドですが、藤原基央の歌詞の視点は、ハードコアバンド並みに、厳しい視点なのです。
上っ面だけの人生応援ソングが聴きたければ、他のバンドや歌手を聞けばいい。
バンプは、人によって、聞く時期によっては、実に耳障りの悪い音楽でもあるのです。
彼の歌には、慰められないんです。
だから、現実逃避してる時には、聞けない。
しかし、一旦どん底まで落っこちて、そこからなんとか這い上がりたいともがいている人にとっては、うってつけのロックミュージックなのです。
藤原基央は、メロディーと言葉を歌に乗せて、何かしらを伝えようと、発している。
しかし、藤原基央ほど、ロックボーカリストがよく歌う「オーイエー」という雄叫びを乱発するシンガーを他に知らない。
以前、大阪のゼップに、アルバム「ジュピター」のツアーライブを見に行ったとき。
開演後、一曲目「ステージオブザグランド」。
イントロのドラムのジャングルビートに乗って藤原基央は「オーイエー」と叫んだだけで、その場の空気が変わるほどの声の響きに羨望とか通り越して、恍惚を覚えた。
それだけで、伝わってしまう。
伝わってしまった。
何が?
わからん。
藤原基央の声は、ライブで聞くと、本当に、物理的に、胸に響くのだ。
そして、ココロに響く。
そして、感じて、動き出すから、感動する。
唄は凄い。
このアップされてる冒頭の藤原の雄叫びも、凄い。