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ちょうど去年の今頃、映画化されて話題になってました。

いつか記事にしようと思ってました。

原作は読んでましたが、映画はまだ見ていません。

ネタバレ注意ですよ。

アップされてる動画、大丈夫かね??

バンド漫画の青春モノといえばたくさんあります。

僕が10代の頃やと「トーイ」が人気でした。

バイク好きなコは「バリバリ伝説」とか読んでた。

80年代の漫画とか映画のヒロインは、かっこ良くて、才能もあって、カリスマ性があって、みたいな。

ところが、90年代になると、等身大のどこにでもいそうなキャラに、読者が自分を重ね合わせるようになり、寧ろ、様式美的な少女漫画なんかはどんどん淘汰されていきました。

安野モヨコの「ハッピーマニア」は痛快でした。

安野モヨコの旦那さんの庵野秀明氏の「エヴァンゲリオン」は言わずもがな。

バンドものでは「ベック」なんか人気でした。


さて、「ソラニン」ですが、もう、個人的な体験と重ね合わせて大ノスタルジーで、ほんとに感銘を受けた作品でした。

学校卒業して、バイトやりながらバンドやって、恋愛もあって、故に葛藤や迷い、苛立ち、挫折、逃避。

そんな日常が実は、尊くて。

バンドやってるっていうと、みんな、チャラチャラしてとか偏見持つけど、実は、社会から外れて、表現に向かえば向かうほど、現実的になるんです。

お金もいるし、そのために働いたり、仕事もあれこれ考えたり、時間もいるし、かかわる人間関係もややこしくなるし、自分の才能をまざまざと評価されたり、傷つけられたり、傷つけたり。

そんなんばっかしやった。

魑魅魍魎の世界。

でも、それでも、しがみついて、やっていくものなんです。

辛くても、笑う。

「ソラニン」は漫画ならではの展開や演出もあるけど、そんな個人的な体験をノスタルジーに包みこんでくれる作品でした。

安野モヨコの「ハッピーーマニア」もそうやけど、世間や社会とのリアルな関わりが物語に食いこみのが、読み手と物語を結ぶ重要な、演出だと思います。

まあ、漫画になってる以上お伽話なのかも知れませんが、時代が作品に求めてるのかなと、思います。自分も含めて。




先日、旧友が扇町でバー開店させたんです。

演奏も出来るお店で、凄い良いお店。

そこで久しぶりに弾き語りやったんですが、まー、俺、めっちゃ下手やなと、更に下手になったなと。

ははは。

しかも歌詞やコードも忘れてるし。

人ってこんなにも忘れるんですね。

呆れました。

その店の旧友のマスターに「今度なんか企画して」と言われ、何気にやる気になってますが。

弾き語りか。

そういう選択肢あったって、忘れてた。

でも、やっぱバンドでデカイ音が出したい。

久しぶりに曲でも作るか。

詩でも書いてみるか。

今やったら何が出てくるやろ。

今やったら何が歌えるやろ。

どんな言葉を綴るのだろう。

どんな声で歌うのだろう。



「ソラニン」での、最期の演奏シーン。

原作での

「ああ、曲が終わる」ってとこ。

わかる。

何回読んでも、泣けてしまう。


これは、バンドを作って、終わらせた人にしか、きっとわからない、否、わかってたまるか。

爆音の中で絶叫しているように見えても、

実はやってる側は、冷静やったり、ナイーブな気持ちなんです。

てか、俺がそうやった。



ギター、いい感じで下手になったな。

ギターの弦も錆びついた。

新しい弦に張り替えよう。

そして、また歌ってみよう。

ソレダケ。