青丹よし 三輪の山肌撫ぜる風 秋の夜長に染入る気配 | 空堀ホイホイ

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逆説の日本史 (3) (小学館文庫)/井沢 元彦

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じゃ~ん、井沢元彦の逆説の日本史第三弾!

まだ読み始めたばっかだが、ばっさ面白い。

先日NHKで大仏開眼というドラマを見たのだが、流石はNHKさん。

素敵な娯楽に仕上がっていました。

そのドラマでは後の称徳女帝(孝謙天皇)の役を可愛い石川さとみさんが演じていたのが印象的でした。

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称徳女帝と言えば、道鏡との愛人沙汰が有名だが最近ではかなり違った見解が浸透してきたようです。

僕的な妄想も膨らんで、現在、称徳女帝がかなり気になります。

(やはりテレビの影響は凄い)

称徳女帝と道鏡との淫らな関係については、坂口安吾も異説を唱えていました。

つまり、こういったゴシップ的な伝承は、それを吹聴した連中の意図があったんだろうと。

これまた、現在のマスコミ、芸能ネタと似ています。

つまり、称徳女帝のパブリックイメージを悪くすることで、特したい連中がいたんだと。

それは?

藤原氏です。

称徳女帝の母は藤原氏の娘、光明皇后です。

父の聖武天皇との間に男児が恵まれず(男児を生後間もなく亡くす)後継問題に揺れていたのが平城末期。

様々な陰謀が渦巻く中、称徳女帝は生涯を独身で過ごさなくてはいけなかった。

何故ならば、男系の万世一系を守るためには、天皇家以外の夫と結婚することは許されませんでした。

こういった彼女の状況を察すると、非常に孤独だが、女帝として男勝りでなければいけなかったのでしょう。

そんな彼女を支えた道鏡、そしてドラマでもメインだった吉備真備。

ドラマでの印象もあるのだが、仮にそれらの関係に男と女の私情があったとしても、伝承にあるようなドロドロの男女関係ではなく、純愛であったのではないだろうか。

更に、当時の悪政を司った藤原仲麻呂に対し、庶民派の政治を目指した称徳女帝、その補佐の真備と道鏡。

これらを鑑みれば、称徳女帝が愛欲に溺れていたとは考えにくい。

また、有名な宇佐八幡宮神託事件である。

これは、称徳女帝が万世一系から外れる道鏡を、皇位にしようとしたのだ。

これには流石に猛烈な反発があったであろう。

しかし、井沢説によると、称徳女帝は中国の唯一の女帝、則天武后に影響を受けていたのではと説く。

中国の皇帝制は世襲では無い。

徳のある人物が皇帝になり、天下を治めるという思想だ。

称徳女帝は藤原氏の悪政から縁を切り、彼女にとって一番信頼できる側近、道鏡に皇位を委ねてみたかったのだ。

このエピソードは日本の運命の分かれ目だったろうね。

もちろん歴史はそれを許さなかったのだが。

しかし、僕は称徳女帝を支持したい。



運命に翻弄された女の生涯。

美しくも儚い栄華盛衰の都、奈良。


青丹よし

 三輪の山肌撫ぜる風 

秋の夜長に染入る気配



お粗末。