高一の時、ジムの門を叩いた。
…バカスカサンドバッグ殴る気合満々で行ったら、何とビックリ、ボクシングの構えとそのまま二歩前に進む、二歩後ろに進む、の繰り返しのみで終わった。
メチャクチャ退屈。
ボクシングのステップですらない、ズイッズイッと前に二歩進み、ズイッズイッと後ろに二歩下がる。
それのみ。
エネルギー余ってイライラした。
…翌日になってようやくゆっくりのジャブ。
バンデージ巻いてサンドバッグ叩けるのは1週間〜10日後。
…今特にアマチュアジムでそんなことやってたら、すぐ会員さんいなくなっちゃうから俺もそうしないけどね。
…「教え惜しみ」の話はまた今度として、さておき。
「早くスパーリングさせろ。そしたら俺の強さ分かるから。ビックリ仰天だから！天才現るだから！！」と思いつつ、毎日サンドバッグばかり叩いてた。
…ようやく、念願の初スパー！
…この時を待っていた！！
俺はボクシングをやるためにジム来てるのだ！！
…。
…相手は、ヒョロっとした色の白い、同い年の弱そうなテルちゃん。
「ごめんなぁ。俺本気出しちゃうけど、ごめんなぁ…」
ゴングが鳴った。
相手を睨み付けながら、前に出る。
…駄菓子菓子サウスポーのヒョロヒョロ君、全然怯む気配なし。
…おー、いい度胸じゃないの。
喰らえ！
俺様スペシャル右パンチ！！
…何なくガード。
…。
…あれ？
俺のとっておきのすげえパンチが、ガードされちゃったよ。
…何かの間違いだ。
…もう1発！
喰らえ！！
右パンチ！！
…ひょいと避けられる。
…むむう。
やるじゃないの。
グシャ！
あ痛ー！！
左ストレート！！
痛いよ！！
この野郎！！
俺もパンチ喰らえ！！
何なく避けられる。
ガンガン！！
あ痛たたたた！！
何だか多分左ストレートから右フックまで喰らったよ！！
チッキショーー！！
俺も！喰らえ！！
右パンチ！！（ワンツーはおろか右ストレートですらない笑）
難なく避けられる。
おっとっと。バランス崩した。
グシャ！！
だから、痛いっつーの！！
…。
…そうこうしてるうちに、息が切れてくる。
ゼイゼイ、ハァハァ…
パンチも出せなくなってくる。
ガード上げるのもしんどい。
相手のテルちゃんは、息は荒くはなってくるものの、全然動き続けられる。
…同じ高校二年生になったばかりのはずなのに。
…その後も、ますます何もできないまま終了。
…。
……。
…ボクサーって、マジで、強え！！
ちなみにサウスポーのテルちゃんは、高校生ながら日本ランカーのスパーリングパートナーもしていた。
…「一人でスパーパートナーやってくれたから」ということで、ランカーの人から新品の青いリングシューズ買ってもらってて、羨ましかったな。笑
…同い年ながら、キャリアはテルちゃんの方が長かったので、アマチュアの試合決まった後に聞いた。
「10オンスグローブのパンチって、痛いの？」
「最初は痛くてビックリしたよ」
「やっぱそうなんだ」
「でも、もう、慣れた」
「…？」
「効かない」
おおおおおーーー！！
…。
…そんなテルちゃん、高校出る際に、就職か、プロの道かで、就職を選んでしまったんだそうだ。
…いやー、勿体無いなぁ〜。
でもこればかりは本人の決める道だからね。
〈写真はテルちゃん。高校生の頃はもっと白くて、ヒョロっとしてた。手前に佐々木とバチバチスパーしてた日大こと小林さんが写ってしまったのは偶然か〉
♯昔のスパーはそんなもん
♯喧嘩の代わりにボクシングやってた
♯右ストレートでなく右パンチ笑
⇩禿げみです
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