どこからボクサーと言えるのか

これ実は3日前の続きなんだけど。

…ボクサーならではの実際の体験談を、綴ります。

…。

「俺、ボクサーだったんだぜ」と、どこから言えるのか?

…もちろん定義上は、プロテスト受かってプロボクサーライセンスもらえたら、それでプロボクサーだ。

…駄菓子菓子、それだけでボクサーと言えるのか?

…一戦二戦して、勝ったり負けたりして、辞めました。

それだけで、「俺ボクサーだったんだぜ」と言えるのか?

…人のことは、どうでも良い。

プロテスト受かった人が俺プロボクサーだったんだぜで良い。

…自分に対して、胸を張ってそう言えるのは、どこからなんだろう??

…そんな疑問をうっすら抱えたまま、1998年度新人王トーナメントに参加していた。

…。

全日本新人王決定戦。

…記憶は、確かにある。

…。

…打ち合ってた際、突如自分の腰が落ちてた。

…膝をついたかつかなかったか、くらいだった。

…カウント数えられていたので、ダウンだと気付き、とりあえずファイティングポーズを取る。

…駄菓子菓子、目の前はグワングワン揺れていた。

…それまで一度も経験したことのない状態だ。

例えるなら、泥酔状態が一番近い。

…なんだかヤベェ!!

とりあえず、ガードを固める。

…その数秒後。

レフリーが割って入った。

…。

KO負け。

…「ざけんな畜生!!まだまだやれるのによー!!!」

「何ストップしてくれちゃってるんだよ!!」

「ダウンもしてねーだろ!!」

…。

試合後。

応援に来てくれてた人の一人が、言った。

「…しかし、基樹があんなに思い切りダウンしちゃうとはなぁ…」。

???

「俺ダウンはしてないですよ??」

「…いや、してたよ?」

「いやいや、倒れてはないですよよ!」

「…いや、倒れてたって!!ゴロンと」

「ハァ??俺倒れてないですけど!」

「いや、倒れてたって!」

…隣にいた、応援隊長中丸に聞いてみた。

「…俺、倒れてた?」

応援隊長中丸は、気まずそうにうなづいた。

…???

…俺、倒れてねーのに!?

…あの時、確かに腰は落ちた。

でも膝がついたかつかなかったか、位のはずだ。

…なのに、信頼できる人間が、ダウンしてたと言う。

…。

…一体全体、どういうことなんだ!?!?

…。

…家に帰ってから、当日深夜放送のあった全日本新人王戦を見た。

…。

ゴロンとリングに倒れる自分の姿。

すぐさま立ち上がったものの、ヨロヨロしてる自分。

そこに追撃。

防戦一方。

…「ああ、こりゃストップですね」と納得した。笑

…。

家に帰ってから見た、地上波放送。

…思い切りダウンしてる自分。

…ゴロンと転げて、そのままの勢いで立ち上がってた。

…。

…不思議なことに、「記憶が飛んでる」という記憶もない。

…その記憶は、確かに繋がってた。

…俺の記憶は、膝がついたかつかなかったか、だ。

…そのダウン後、時間にしたら1秒もないだろう。

その空白の時間の記憶は、確かに繋がっていた。

…。

背中から倒れて、けれどすぐさま立ち上がり、ファイティングポーズをとる自分。

…全く記憶がないのに、立ち上がってファイティングポーズを取る自分。

…それを映像で見た時、初めて自覚した。自分にその認識を許した。

…。

…「ああ俺も、いつの間にか『ボクサー』になってたんだな…」と。



⇩あざます


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