個人的にかなり楽しみだった一戦。

勢いに乗る21歳佐々木尽。

36歳小原は何を隠そう、うっすらと佐々木基樹現役時に試合するかもという可能性もあった。

日本にあるミニマム級〜ミドル級のうち、唯一世界チャンピオンがまだ一人も誕生していないウェルター級。

ちなみに佐々木基樹も、14年前にウクライナまでそれを獲るため挑戦しに行き、失敗に終わっている。

…。

どちらも世界を狙える逸材。

…関係者目線で言うと、両方狙わせた方が長い目で見て日本のボクシングは盛り上がると思うが、目の前の星の潰し合いを好むのが世間一般の目。

…「なんとかギリギリ世界を獲りました!」ではなく、圧倒的な強さを誇るスターを望むのだ。

…「強さ」とは、そんなに単純なものではないんだが。

…。

…駄菓子菓子、現役ボクサー諸君、忘れてはいけない。

君が望まれているのは、「なんとか勝ちました!」ではない。

「同じ人間とは思えない、圧倒的な強さを誇るスター」なのだ。

…俺は最後の最後まで、「もう無理だよ佐々木基樹」と思われようとも、一人内心そこを目指してた。

誰が何て言おうが構わない。

あくまでも自分自身の理想を追求するのだ!!

…。

はあ、はあ…。

…少し落ち着け佐々木基樹。

…。

とは言え、単純にこの試合は面白い。

興味津々。

史上初日本人ウェルター級王者を目指せるのは、一体どちらなのかああ!?

1ラウンド開始。

佐々木尽、元気よく飛びかかる。

小原、余裕もってるもややタジタジ。

…このままだと小原やばい。

佐々木、豪快な空振りはまずいが、それすらもプレッシャーになっているか。

…。

「むむぅ、あれが伝説の『佐々木族勢いでいったれ突撃作戦』…」

「…知っているのか雷電!?」

ーーーーーーーーーー

古代中国に、「懿郗御懿(い・きおい)」というカンフーの達人がいた。

とにかく勢いで勝ちまくった。

その強さは自分より大きく強い相手を薙ぎ倒す程だったという。

余談だが、日本語で「勢い」というのはこの懿郗御懿(い・きおい)の勇猛な様が語源になっていると言う説が有力である。

〜民明書房刊「懿郗御懿の勢い」より

ーーーーーーーー

2ラウンド、さらに攻勢を強める佐々木。

途中小原も若干立て直すが、佐々木上回る。

…と、その時!

佐々木の打ち終わりに、小原の鋭い右ショート!

佐々木ダウン!

この辺り、流石の職人技!

会場大盛り上がり。

そして小原の落ち着きぶり。

ダメージ深いものではないのは見て分かるが、無理に詰めにはいかない。

…後言にはなるが、相手が強いほど、千載一遇のチャンスを逃してはならない…。

3ラウンド

佐々木、詰めてからの左ボディ一閃!

…このレベルではむしろ珍しい、ボディダウン!

…ボディでああ倒れると、立ち上がるのは容易ではない。

しかし立ち上がる小原。

よくぞ立った!

試合再開。

チャンスを逃すまいと、攻勢に出る佐々木。

…最後は右。

完全失神。

しばらく立ち上がれず、タンカも出動したが、なんとか自分の足で立ち上がってリングを降りた。

佐々木尽、日本初のウェルター級世界チャンピオンに、確たる足を進めた。



⇩何だかアメブロの格闘技では一位になりましたが…


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