自分に不利益しかないことを承知の上で、それでもなお言います。

俺にはその義務がある。

…先日の試合に限らず、本当に心の底からお願いがある。

…。

…あの試合のレフリー、セコンドだけに限らず、ボクシングに携わる方全てに、今一度心から本気でお願いしたい。

…。

…先日の東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ。

10ラウンド、栗原は魂の反撃を決行した。

それはチャンピオンたるボクサーの持つ本当に命懸けの火花だった。

…それが途絶えた瞬間。

勝負あった。

勝負は終わりだ。

何ならその時点で千葉の勝利にしてもいい。

…けれどそれじゃ納得しない素人さんのために、多少は千葉の反撃を見せてやってもいい。

けれどそこで一発でも入ったなら、もう完全に勝負アリ。

人一人の生命の危険を侵させてまで、ボクシングの危険さを分かっていない素人さんや、分かっていて一瞬の残忍な欲望を満たしたい人の執着を満たす必要は、どこにもない。全くない。

…。

…人は、コロナで100万分の1の確率で自分が死ぬかもしれないとなると、大騒ぎし続ける。

けれど人が10分の1の確率で死ぬことに関しては、そこまでの関心は示さない。

…「まだやれるから」じゃない。

やれる限りやらせていたら、確実に、本当に確実にこれからも犠牲者は出続ける。

…「ダメージが溜まってるから」「これ以上はプロの目から見て危険だから」ストップするんだ。

ストップしなきゃいけないんだ。

「本人がまだやりたいと言っているから」でやらせてちゃダメなんだ。

ボクシングの危険性を分かってない人の素人判断に、プロが耳を貸す必要はどこにもない。

…。

意見ではなく、客観的事実を述べる。

…ボクシングの試合で、本当に人は死にます。

特に頭部に打撃が集中する分、ローキックとかでダメージが分散されるキックボクシングよりも危ない。

総合なら尚更分散される。

…それをリアルに感じられないのも分かる。

自分も全く同じだったから。

身近な人が、実際死んでみなきゃ分からない。

けれど何回も繰り返して体験すれば、嫌でも分かるようになる。

俺のように馬鹿でも分かるようになる。

それからじゃ遅いんだ。

失った人の命は、二度と戻らないんだ。

…ボクサーは、闘うよ。

即死することはほぼないだけで、リアルに死ぬまで戦い続けるんだよ。

それを第三者の冷静な目で客観的に判断して止められるのは、セコンドとレフリーしかいないんだよ。

4回戦の試合なら止めやすい、タイトルかかっていて、世界も見えてきたボクサーの夢を消す試合なら、実に止めにくい。

それも分からなくはない。

そのプレッシャーなんて、軽々しくその場の欲望を満たすためだけに文句言う人間には分かりっこないんだよ。

…それが何だっていうのだ??

それを受け止めるのがプロとしての役割であり責任じゃないのか??

…どんな不利益を被ろうとも、命までは持っていかれない。

文字通り生命の最期まで闘うボクサーのように。

…統計の取りようがなく、経験からの感覚で申し訳ないけど。

個人的な見解を言うと。

あの状態で栗原が自力で立ち上がって、本当に良かった。

本当にザックリ言うと、あそこまで効いている状態で一方的に打たせていたら、3分の1ぐらいの確率で、担架でリングを降りることになる。

担架でリングを降りた人間のうち、半分は元に戻る。

けれど半分は何かしらの障害を一生引きずったまま生きていくことになり、そのうちの三分の一はそれから数週間で命を失う。

…。

交通事故だって、賠償責任はあるよね。

…。

ボクシングの試合に保険はあるけど、賠償責任はないですよね。

人一人命を失わせて、今現在おそらく何の罰則もないよね。(もしあったら教えて下さい)

…人一人命を失わせて、今現在法的に誰も何も問われないんだよ??

…例えば、たったの10万円でもいい。

罰金規定を設けたらどうか。

それだけで死亡事故は減るよ。

断言できる。

…。

ストップに対して文句を言う一般のファン。

あなたは、それだけで罰せられることはまずありません。

けれどその「声」は、確実に選手の死の確率を高めているということを自覚して下さい。

「みんなが」ではなく、「あなたが」です。



亡くなった協栄ジム津田さんが眠る北海道上士幌町の墓地イメージ図。
「結婚するからこの試合でボクシングを止める」と本人が言っていたラストファイトだった…。



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