どっかで話した気がするけど。
…どこからが、ボクサーか。
…自分が4回戦だった頃、その疑問の答えは出てなかった。
…定義上は、プロテストに受かってボクサーライセンスが交付されればプロボクサーだが。
そのライセンスだけが欲しいという人もいたりして。
それで「俺プロボクサーライセンス持ってるぜ」と。
…それもそれで否定はしないけど、少なくとも自分には当てはめられない。
…例えばデビュー戦から一戦二戦して、勝ってなくともあのリングに立った。
それも大きく違うけれど、それだけで「元ボクサー」と一生胸を張って言えるのか。
…そんな疑問をうっすら抱えたまま、新人王トーナメントに出てた。
…。
全日本新人王決勝。
…闘ってる最中、膝が落ちたように感じた。
…膝がリングに付いてしまったかどうかだったが、レフリーはカウントしてた。
…いやいや、今のダウンか!?
慌ててファイティングポーズを取る。
試合は続行。
…が。
遊園地のコーヒーカップ乗った直後みたいに、グワングワン目が回っていた。
…必死でガード固めるが、追撃されたらレフリーストップ。
…。
東日本新人王で目立った後の全日本新人王での、ボクサーとして初の大きな挫折だった。
…。
「…しかし、基樹があんなに大の字になって倒れちまうとはなぁ〜」。
「??俺倒れてないですよ?」
「…いや、倒れてたよ!?大の字になって」
「いやいや、俺倒れてないですよ!」
「いやいや、倒れてたって!」
「いやいやいや、俺倒れてないですって!!」
「…いやいや、倒れてたってば!」
隣にいた応援隊長中丸に、聞いてみた。
「俺、倒れてた??」
中丸は、答えにくそうに答えた。
「…うん」
…。
…当時、地上波深夜放送でその日のうちに映像が見れた。
ことの真偽を確かめるためもあり、テレビ放送を家族で見た。
…。
ダウーン!
右フックを喰らってモロに倒れてる自分。
倒されながらも、即立ち上がり、ファイティングポーズを取る自分の姿。
…わずか1秒に満たないほどの時間だけど、確かにその間の記憶はない。
むしろ記憶は倒される前と繋がっている。
…自分の確かな記憶としては、膝が落ちて、リングに付いたか付かなかったか、だったはずだ。
…けれど、確かに一度ゴロンとひっくり返り、そのまま即座に立ち上がっている。
本人の記憶すらなしに。
無意識のうちに。
…その自分の映像を、自分で見た時。
「…あ、俺もボクサーになったんだな…」と感じた。
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