これは、友人Cの話である。

…いや、間違えた、これは短編小説である。

くれぐれも、短編小説である。

くれぐれも、真に受けてはいけない。

…。

高校大学と、スポーツ推薦で大学に入った、アマチュアエリート。

強い部活は、大抵やたら練習がハードだが、特に合宿ともなるとそのハードさはマックスに。

大学では先輩達の理不尽とも言えるシゴキもあった。

田舎の高校施設を借りて、その合宿は行われていた。

連日のシゴキと猛トレーニングで、Cは疲労困憊していた。

加えて膝の怪我もあり、歩くのも困難な状態だった。

夜の8〜9時頃。

歩くのもしんどい。

…男子トイレは、長い校舎の反対側。

…膝の怪我もあり、歩くのは非常にしんどい。

…この時間だし誰もいないからいいや、目の前にある女子トイレでしてしまえ。

重い膝をかかえ、女子トイレの個室に入り、大の方をしていた。

…すると。

コツコツコツコツ

人の足音が!!

ヤバい!!

パチン

突如電気だけを消された!!

…おそらく警備員か。

…「をい!」とも思ったが、女子便所の中から、男の声で「ちょっとー!」というわけにもいかない。

仕方なく、Cはそのまま暗闇の中、大便を勤しんでいた。

…すると!

今度は、女の子の声。

それも複数だ。

ドキ!

「…ちょっと待てぇ〜〜!!」

Cの心の叫びも虚しく、部活終わりの女子高生軍団登場。

パチンとトイレの明りが点く。

体育館で練習してたのか、外で練習してたのかは知らないが、部活終わりの女子高生達。

…もちろん、「入ってまーす!!」と女子トイレの中から声を出すわけにはいかない。

…そして。

着替え出した。

…マズい。

…完全にマズい!!

もしもこれ見つかったら、変質者として警察に逮捕され、新聞に載っちゃうかもしれない。

大学としても、部活動停止とかあり得る。

…これは、マジでマズい。

…個室でジッと息を潜めるC。

一分一秒が、異常に長い時間に感じられた。

早く。

早く過ぎ去ってくれ!

…駄菓子菓子。

一人の女子が、気付いた。

気が付いてしまった!

「あれ?ここのドアだけ閉まってない??」

「…え?うそ?何で??」



ガチャガチャガチャ

目の前でトイレのドアを開けようとされる!!

ドキドキドキドキ!!!

心臓は、今にも口から飛び出てきそうだ。

「中から鍵閉まってる…」

心拍数、試合本番よりもバクバクいっている。

「誰か入ってますかー?」

もちろん答えられない。

そこに何人いるのかは分からないが、トイレ個室前に全員集合してるのだけは分かる。

「…でも、来た時、電気消えてたよね?」

「…あ、うん、そうだ。電気ついてなかった」

…。

すると。


背筋も凍る、一言が発せられた。


「…中に、誰か、いるんじゃないの??」


続く





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