7年前の野木さんの合宿。
「Qちゃん」こと高橋尚子選手を育てた小出監督が野木さんの師匠で、
この時は小出監督のチームとも少し練習させてもらった。
（女子とはいえ陸上一本でやってる選手には全くついていけないんだけど……）
ーーーーーーーーー
徒歩二十分の山道を全力ダッシュで四本登った翌日。
五キロまで根性で陸上チームについて行った日の、夕方。
俺等を乗せた野木さんの車は、山の中に入って行った。
「よし、ここからダッシュ！山頂までな！昨日よりは確実にあるぞ！」
「山頂までどの位ですか？」
「正確には分からない！」
分からないゴールに向かって、山頂までダッシュ、よーいドン！
うおりゃあああああああああああああ！！
今日は階段ではなく、完全な山道。
くねくねしてる。
カーブを曲がって。
うおりゃああああああああああああああああ！！
カーブを曲がって。
うおりゃあああああああああああああああ！！
ゼイゼイゼイ
カーブを曲がって。
うおりゃああああああああああああああ！！
ゼイゼイゼイ
（以下繰り返し）
……
「そもそも世界一なるなんてのは、一般常識の及ぶところにはない」
小出監督の言葉が、魂の炎に油を注ぐ。
やったろーーじゃんか！！
ぐおおおおおりゃああああああああああ！！！
一本目、三位。
所が抜けなかった。
７分ちょい。
「よし！あと二本！！」
・・・最初、全部で二本って言いましたよね・・・！？
しかし上等じゃああああああああ！！
下まで降る。
普通、降りは短いじゃんか。
全然長いから！
こんなに登ったのかって位。
さーていくぞーーー！！
ゴーーー！！
ぐおおおおおおおおおおおおおお！！
スタミナで総合の所に負けるな！
うおおおおおおおおおおおおおおおおお～～～！！
抜いた！
二位。
七分を切った！
信じられない位ゼイゼイいう。
ラスト！
ここでひるむな！
ラストだ！！
ファイヤーーーーーー！！
うおおおおおおお～～～～～～～！！
ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおお！！！
・・・俺のボキャブラリーが足りてないけど、この大変さ、少しでも伝われば。
最後の方はもう足がいう事聞かない。
もう動かない足を動かし、登る。
終わると、やはり大の字にぶっ倒れた。
この日も天気はいまいちだった。。
宿舎に帰っても、なんだか肺が熱くて、ヒューヒューいってた。
そっから身体が熱持つ感じ。
で、これをやった翌日だな。
朝の山道で、全然ついていけなかったの。
一晩寝ただけじゃ、疲れは取れなかった。
・・・その日の午後には、クロカン登り中心７００ｍダッシュとかやってたんだが・・。
昨日書いたけど、その後は１キロリレーだぜ？
リレーって普通１００ｍづつとかじゃね？
１キロですよ？
普通じゃねえ。
野木さんのキャンプは、常識破りである。
が、常識外れではない。
常識外れってのは基本的に、常識を知らないことである。
常識破りとは、常識を知ってそれを超えていくことを言う。
野木さんは、もちろん基本を抑えてる。人体の常識を知っている。
その上で、それを超えた理論を実践から構築させていくのだ。
・・ここで、最近のボクサー日記の言葉が脳内でコラボレーションしてきた
人は、かなり素晴らしいと思う。
常識破り。
常識の範囲からの、逸脱。
それはつまり、守・破・離。
最初は師匠の教えを守り、やがてそれを破り、完全に自分のものにする（離）と。
それはつまり、常識を破ることに繋がる。
さらにもう一つ付け加えるならば。
「基礎あっての我流」。
最初から我流でやっても強くはならない、最初は基本をしっかり学んで
身につけた上で、違うこともできるようになっておけば、選択肢が拡がる。
世の中の、色んな真実や信念は、お互いにリンクしている。
その繋がりが自分の頭で構築されてきた時。
そこに、自分の哲学や信念が生まれるのだ。
格闘技ランキングへ
にほんブログ村