また先日の瞑想の話。
口をきいてはいけない。
これは、人間関係で煩わしさが出ない代わりに、別の苦悩も生んだ。
本格開始一日目。
さぁーついに瞑想が始まった！
１０日間先生や必要事項をケアマネジャーと話す程度以外は誰とも喋らず、自己と向き合うのだ！！
山奥での、本当の静寂。
シーーン
シーーーーン
シーーーーーーン
「ヒーーークシ！！」
「オマエは加藤茶か！！」
……いかん！
遠くの方で誰かがしたクシャミに、心の中での我がナイスツッコミに爆笑をこらえるのが必死だった。
……しかし加藤茶はかつて、よくもくしゃみという誰もがする生理現象を、ギャグにもっていったよな……。
……などと、「考えて」はいけない。
山奥の施設での、静寂の時間。
静寂の一斉瞑想。
当然、笑ってはいけない。
絶対に笑ってはいけない！！
……そーいやガキの使いかなんかで大晦日とかにやってたな……。
笑ってはいけない24時。
「遠藤、松本、アウト！」
ジャジャーン！
ムエタイボクサー登場！
ケツキック！！
あいたーー！！
ぶひゃひゃひゃひゃー
……しまった！
……笑ってはいけない。
……思い出すと笑いがこみ上げてくる。
ダメだ。ダメだ佐々木！
堪えろ！！
堪えるんだ！！
……しかし、笑ってはいけない場面って、時に何故こうも可笑しいのか？
……笑ってはいけないのに、目を閉じて静かに座って「静かな場所で笑ってはいけない」が頭に浮かぶと。
……そーいや昔ドッキリテレビでやってたな。
直接の知り合いじゃないんだけど、近しい人の近しい人のお葬式という設定で。
遺影がとんでもなく変顔だったり、目の前の人が立ち上がるとズボンのケツがビリっと破れたり。で戻ってくると今度は屁をブッこいたり。
次々と笑わせるトラップが仕掛けられる。
葬式だから、もちろん笑ってはいけない。
……そんなことを思い出したら！
ますますピンチ！！
かなり腹筋使って、笑いをこらえた。
いいトレーニングだった。
……決まった時間に、先生への質問ある人は質問していい時間がある。
俺がホール前に到着した時は、先客が二人ほどいた。
座布団は３つ用意されていた。
……一番前が空いている。
空いているから詰めてもらえないかな。
……しかし、俺に気付かない。
詰める様子はない。
しかし、口をきいてはいけない。
後から来て一番前に座るわけにもいかず、話すわけにもいかず、前の二人が座ってる後に、黙って立っていた。
……すると。
手前の青年が、立って待ってる俺に気づいてくれた。
……しかし先頭で待つおじいちゃんは、何も気付かずに目の前をガン見している！
手前の青年が慌てる様子が分かる！
ハワワハワワと。
どうしよう左手にゴツい人が立って待ってるのに、右手のおじいちゃんは１つ空いた席を詰めようとしない！
どうしようどうしよう！
……俺自身は別に少しくらい立ってるの構わないんだけど、その慌ててる姿が面白くて。
……で最後には、空いてる座布団をわざわざ持って来て俺の前に置いてくれて。
……笑ってはいけない。
…………しかし、もうダメだ！！
……そのまま中庭の誰も見てないとこまで早歩きで行き、笑った！笑笑笑
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