さて、あらためて尾川堅一対ケビン・ファーマー。
2-1判定勝ち。
その内容は、果たしてどんなもんだったのか。
…………。
開始一発目のジャブで分かった。
上手い！
……ランキング五位なので、もちろん強いけど、言ってみれば並みの世界ランカーかなと思ってたんだが。
……結果知ってるけど。
これよく攻略したなぁと。
速いパンチに、尾川、よーく反応してる。
よーく見てる。
……強くなった。
ホントに、強くなった。
でも最初のラウンドは、相手のうまさが光る。
ポイント取られたかな。
2は若干取ったかな？
3ラウンド。
速いパンチを、避ける！
そしてあの防御上手い相手に、パンチ当てる！！
すげー！！
……ああいうやつに、パンチは当たらないから！
やりゃ分かる。
ホントに当たらないから！
……別人が、そこにいた。
……かつて俺がスパーで稽古つけてやった尾川とは、全く違う次元。
このラウンドは取った！
4ラウンド。
これも取ったべ！
一目で分かる、世界トップレベルに、全然負けてない。
引けを取ってない。
5 相手復活！取られた。
このままペース取っていくのかと思ったが。。
この辺りの勝負強さもすごい！
本当に強い！
6 は取られた かな。
７は結構やられててからの1発ー！！
入った！
効いてる！、
………でもいかせない。
それが、ケビン・ファーマーの実力。
一気に持っていかせない。
その駆け引きの部分は、数値はもちろんなかなか説明するのも難しい。
……。
尾川。
パンチを、当てる。
相手のパンチを、スウェーで避ける。
「俺のおかげ」？？
とんでもないね。
世界チャンピオンに、なるべくしてなった。
10またも入れた！！
取った！！
文句なし！！
11
ホント思うけど。
ああいうやつにはパンチ当たらないんだよ。
ケビンね。
あと日本人であんまいないじゃん。
L字ガードスタイルで上手い人。
練習すら難しいんだよね。
逆に、ガード上げて前に出てってのは、アメリカにもたくさんいる。
練習相手には困らない。
…………。
すげー正直なとこを言おうか。
…………。
スッキリした。
あの舞台は、やっぱり俺がこれから立てるステージではない。
……やっぱりなんだか正直、くすぶってるものはどっかにあったのさ。
勝ってたという人も多い前の試合。
東京でやってたらどうだったのかとか。
……どこまでいっても「たられば」なんだけど。
……なんだか、かんだか、なぜだか、引っかかってはいたのさ。
……けれど。
諦めがついた。
少なくとも今の俺がこれからどうこうはできない。
…………。
返ってスッキリした。
最後まで一進一退の試合。
まさに実力は出せた。
最後に尾川とスパーしたのは、まだ4回戦だかプロにもなってないだかの時。
その後はやらせてもらえなくなった。
その最後の時は、まだ日本拳法のクセが取れてなくて、パンチの打ち方も「直突き」って感じだったし、スムーズなコンビネーションもボディもフックさえもまともに打ててなかった。
その段階では、まだどうなるか全く未知数だった。
けれど、そこから、見事世界チャンピオンになった。
そこらの世界チャンピオンより強い相手に勝って。
素晴らしい。
本人の努力と才能だ。
もはや俺は関係なかった。
あらためて、おめでとう！！
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