いずれ負ける時は必ず来る。


……そーいや。


実名あげてもいいでしょ。


中野吉郎さん。


協栄ジム時代の先輩。


俺が練習生の頃、4回戦だった。


……よくスパーでボコられたなぁ〜。


全盛期が2000年だから、もう17年前か。


中野さんを知ってるボクシングファンは、ファン歴長いベテランですね〜。


……。

失礼ながら、センスもスピードもパンチも、ホントになかった。


……なんだけど、対戦相手が皆いつの間にか同じスピードとボクシングになってしまう。


その底なし沼のようなボクシングに引っ張り込まれたら最後。


勝てない。


勝てなくなる。


……そういう先輩がすぐ先にいたので。


俺のボクシング観に初期の頃、大きな影響を与えた。


……てゆーか、むしろ大き過ぎた。


「ボクシングにスピードは関係ない」って最初思い込んじゃってたから。笑


……いやいや、関係あります。大いに。

スピード大事です。


……ただ、中野さんには、関係なかった。


……強いて言うなら、「その人の特性を活かしたボクシング」。

それを見つけて、実行すれば、勝てるんだと。


そんな中野さん、……いや、今はなかよしボクシングラブ会長だ、中野会長。


今でも毎試合欠かさず激励賞出してくれてたんだよね。


……先輩後輩だったのってもう何年前なのかと。


その頃の先輩も後輩も、ほとんど他人になってますよ今。


……で、今回、俺、情けなくも負けちまった。


が。

中野さん。


「ボクサーやってたらほぼみんなこんな日がやって来るんだ。例外は唯一メイウェザーくらい。最後に負けたことよりも、今までやってきたことの方がずっと凄いんだからね!」と。


……。


身に染みたなぁ……。


こういうことを、部外者が言っても軽薄にしか見えないんだけど。


実際にお世話になった、今もなってる人が言うのでは、また違う。



……本人も覚えてないだろうけどさ。


俺、もう一つ覚えてるセリフがある。



新人王戦だったろうなぁ。


負けて、激しく凹んでたのさ。


うわー情けねえ。最悪だ。何をやってるんだ俺。

と。

自分がこの世に生まれてきた意味すら分からなくなり、消えて無くなりたいような気持ちになり、どうしたらいいのか全く分からなくて途方に暮れている時。


普通に一言。


「また頑張れ」



……変に力むでもなく、一生懸命励ますでもなく、ワザとらしい何かでなく、もちろん見捨てるでもなく、たったの一言。


本当に、普通に、一言。



「また頑張れ」



あ、そうか!


別に狼狽(うろた)えなくたっていい、また頑張ればいいんだ。



心の中から、スコンと変な感情が抜けた。



…ついでだから書くと、その数年後。


なんとかランキング入りしてた中野さん、当時確かノーランカーだった相手に、たったの1RでKO負け。


もうダメなのかな。


……そしてその次に決まった対戦相手。


当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった日本ウェルター級チャンピオン、加山利治氏。


……。


タイトルマッチなのに、やる前から咬ませ犬みたいな雰囲気。



皆、勝てるわけがないと思ってた。


正直、俺も思ってた。



……。

中野さん見事勝利の情報を、旅先のチベット山奥のインターネットカフェで知った俺は、「ウワオーーー!!」って一人叫んだ。


周りの中国人やチベタンに、説明できないのがもどかしかった。


こんな人が、いてくれていい。


すごくいい。


だから人生は、面白い。


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中野吉郎vs加山利治 YouTubeないかなと検索したら、なかった…あれ大体2007年頃からなんだね。。いや、そりゃホントに有名な選手のはあるだろうけど…。