昨日の続き。
正木は、俺より速い。正確。上手い。
繰り出されるジャブが避け切れない。
こちらのパンチに対する反応もいい。
つまり、こちらのパンチは当たらない。
……さぁ、自分だったら、どうしよう?
一瞬でもいい、答えを考えてから先にどうぞ!
……。
俺の場合は、どうするか。
例えば、ジャブをいくら自分の限度で速く打っても、避けられる。
どうするか。
フェイントを使う。
タイミングをずらす。
パンチの強弱、遅い速いを使い分ける。
そうすることによって、相手に読まれにくくする。
そうすると、当たることもある。
相手のジャブが速くて、反応し切れない。
どうするか。
ガードを前めに持ってくる。
頭振って狙いをズラす。
…さらにはそのタイミングで、カウンターを狙う。
一言で言うと、色々工夫をしていくのさ。
「キャリア」なんつって威張ってみても、細分化すればこういうものの積み重ね。
ただ、そういうものを、えっちらおっちら積み重ねれば、自分より速くて上手い相手にも対応することが出来る。
「強さ」と一言で言ってしまうと語弊があるかもしれない。
けれど自分より才能がある=強さ、ではないのだ。
ボクシングの世界でよく言われることの1つ。
「強い者が勝つのではない。
勝った者が強いのだ」
才能があればそんな工夫をしなくてもいいのかもしれない。
けれどもし、日本一の才能があるわけではなくとも日本一になりたければ。
違うもので埋めていくしかない。
逆に言えば、埋めていけばいいだけの話だ。
……努力すら才能のせいにして、何もしようとしない人もいる。
…そんな人も実際多い。
けれど才能の差を埋める試行錯誤をこそ、努力というのだ。
富士山の頂上は、1つ。
けれどもそこに至るルートはいくつもあるのだ。
自分にとってのベストウェイを見つけ出し、よじ登っていけばいい。
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