平泳ぎの北島康介を、引退してから個人メドレー(自由形、平泳ぎ、バタフライ、背泳ぎの四種混合)勝負に出す。もしくは現役中でも構わない。
平泳ぎ以外ほぼ練習してない北島康介なら、個人メドレーの日本代表に選ばれない選手でも勝てるかもしれない。
そして、「俺は泳ぎで北島康介に勝った!」となる。
・・・・・・・・。
何の例えか伝わるだろうか。
同じようなことが、ボクシングと総合格闘技やキックボクシング等のやり取りで使われている。
ボクサーは、例えて言ってみれば平泳ぎのスペシャリストなわけさ。
そりゃー個人メドレー専門に練習してる人の方が個人メドレーさせたら強いわけさ。
だから、北島康介からすれば、「個人メドレーなら個人メドレー専門の選手の方が強いから!」と言われても、「まぁそうでしょうね」なわけさ。別にいい。全然関係ない。
やってるのは平泳ぎだから。
専門でやってる平泳ぎなら誰にも負けるわけにはいかない。特に現役時だったら。
伝わるかな?
ボクサーにとっての総合格闘技とか喧嘩とかって、そんな感じ。
ボクサーとしての純度が高い=ボクサーとして上に行った人間ほど、この感覚は強いと思う。
だから、「ボクサーが喧嘩したら・・」とか言われても「??」なわけですね。
最初からそこにプライド置いてないから。
水泳で言えば、例えば平泳ぎのスペシャリストであって、平泳ぎ以外の種目は練習もしてないし眼中にもない。
だから、「個人メドレーなら・・・」と言われても、はぁそうですかとしか言いようがない。
それに対してプライドがどうのって話にもならない。
ただ、個人メドレーの場に引きずり出されて、「俺は北島康介に泳ぎで勝った!!」って言われるのはビミョーな気がするわけですよ。
いやなんか違くね?と。
北島康介はあくまで平泳ぎを極めた、平泳ぎの選手なわけで。
これがさらに、「自由形の高校チャンピオンと自由形で競争したらどっちが速い?」とか、「マレーシアの個人メドレーチャンピオンと勝負したらどっちが速い?」とか聞かれるようなもので。
「いや、分からんし」としか言えない。
水泳ならまだタイムがあるから、ある程度すぐ分かるけど。
これが格闘技となると、数字にできない分ますますややこしい。
さらに言えば、メドレーみたいに単純に増えるわけではなくて、キックとのコンビネーション、ダッキングとかキックがないからこそやれる防御、等を考えると、順応するのは単なる1+1にはならない。
じゃーどーなるのかって、やはり分からない。
平泳ぎだけに集中して鍛えたプロだけど、じゃあ自由形にどこまで対抗できるか、とか。
やったことないしやろうとも思わなかった。
「我が格闘技こそ一番だ!」と言いたくなる気持ちも分かるけど。
まぁ実際は、どこまで現実に近付けるかだよね。
目潰し、金的、噛み付きありにしたらまた随分変わってくるだろうし。
そうなったらもはや競技と呼べないだろうし。
だから、実際ボクシングやってる人からすれば、総合とか喧嘩ってのは、あんまり興味ないんですよねって話。
…ちなみに。
もう昔の話だし、なくなったから誰にも迷惑かけないのでコッソリと言っちゃうと。
その昔、K-1MAX全盛時。
協栄にいた佐々木基樹にも、オファーが来たことある。
断ったけどね。
…そんなん出てガンガンやってたら、知名度は今より全然あったかもしれない。
けど、断った。
俺は、プロボクシングのチャンピオンになりたかったんだ。
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