ちょっと間が空いちゃった、ボクシングとお金の話3。

ずっと、胸につかえていたこと。

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これの続編。




……どうしてもお金が必要である、将来のため今お金が必要なんだと、その恩人は言った。



一緒にいるとすげー面白い人なんだけど、正直言うと金と女にはだらしがない。

当然のごとく貯金もない。

が、個人的にとてもお世話になっていて、そのこと以外は大好きな人でもあった。



金と女以外のことなら、すごくと言っていい位信頼のおける人物だ。



その人の話はもちろんウソではなく、俺自身彼の気持ちもよ~く理解できた。



そしてその人は、俺がタイトル獲ってお金が入ってきたのを知っていた。



一通りの話が終わった後。



俺は、答えた。



正直に、答えた。



「俺、今こういう仕事してるじゃないですか。引退した後の保障は何もないんですよ。

今たくさん周りにいる人達も、ボクサー終わったらいつまでいてくれるかは分からないです。

そもそも人を頼って生きて行く気もないので。

学歴ももう役に立たないし、手に職もないんです。

ボクシング終わった後は、自分で何かやりたいとも思っています。

将来に渡ってずっと貧乏するのは嫌なので。

そのために、自分が今貯めてるお金にはどうしても手をつけられないんです。すみません」


ものすごく世話になってるし、これからもなるであろう人だ。


……でもそんなの関係ない。


………脱線はしないぞ。


……と、いうように。

俺も全てを言い切った。



下を向いたまま、言い切った。



言い切った後。



ふと。



顔を上げ、その人の目を見ると。





憎しみと怒りだった。



憎悪に満ちていた。





「オレはこんなにもしてやってるのに、オマエは俺を一切助けないのか!?」という目だった。



・・確かにそうだよな。



その人の気持ちも分かる。



きっと、裏切られた気持ちになったことだろう。



すげー助けられていながら、自分は何も返さない。



どうなんだろうと思う。





……「意見」はあっても、正解なんてないんじゃないかとも思う。



恩も義理も情も、欠いた行為だったかもしれない。


自分が正しかった、とも思ってない。



……。


そしてその人とは。


その日以降、一度も会ったことはない。



その日以降、連絡しても、力になってくれることはなかった。


当時の俺にとって、結構な痛手だった。


完全に縁を切ったわけでもないが、特に用もなく会う理由もない。




・・・お金さえ入ってこなければ、こんなことにはならなかったのかなとも思った。



お金貸してれば、返ってこなかったかもしれなかったけど、返ってきたかもしれない。 



それはどっちとも誰にも分からない。




ただ、一つ言えること。



金持ってますなんて、親しいと思う人にでも言わない方がいい。



これがさらに世界チャンピオンになってテレビとか出るようになると。



意味分からない親戚とかがドッと増えるそうだ。



あやしい儲け話なんてのも来る。俺にすら先日きた。



寄付団体もくるし、恐喝まがいのことも起こるし、もちろん金貸してって人も出てくる。



・・・じゃあどうすればいいのか?



・・・うーん。


人に、任せるのがいいと思う。



身内。



嫁がいれば嫁が一番いい。



・・・現役中は結婚すべきではないと考えていた。・・身の安全が保証された職業ではないから。



・・けどこういう時は嫁がいた方がいいね。



・・・お母さんでもいいけど、なんだかちょっと、ねぇ。笑 
いい歳ぶっこいてたら特に。
・・・あ、けどなんか逆に諦めが付くかも?


・・けどいずれにせよその人に任せてるから、その人の許可がないと勝手には持ち出せないと。



ウソじゃなく、実際にそうしちゃえばいいよ。



ボクサーはそういう計算得意じゃない人も多いからさ。



男同士の付き合いもあるし。



何か考えてても、第三者が出てくるとなると、かなり面倒にはなるでしょ。


ちょっと稼げるようになったら、お金の管理は信頼できる第三者に任せちゃおう。


それがいいんじゃないかな、という結論でした。

ありのまんまを言ってしまったけど、胸のつかえは降りた。ありがとうございます。
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