旅で基本的に、現地の情報とか実際に行った人の言う話を、俺は重視している。
五年半旅を続けているツワモノに、ブラジルのオススメを聞いてみた。
皆が言うところの他に、聞きなれない地名が挙がった。
そういうところが穴場だったりするんですよ。
行くことに決めた。
何でも、イタリアにある青の海みたいな青い泉、そして、メチャクチャ綺麗な川で大きな魚達とシュノーケリングできると。
それは楽しみだ！
ガイドブックの情報よりも、こういう生の声の方がよっぽど実感に基づいてるし、正解なことが多い。
………。
青の泉。
……うん、まぁ、なんとなく青っぽい。
うん、青いよ、青い！
間違いなく青い！！
……。
多少納得いかぬまま、しかしメインはメチャクチャ綺麗な川でのシュノーケリング！
シュノーケリングダイビング共に、基本が海なため、そりゃー淡水ならばメチャクチャ綺麗だろう！
この土地の名前は、ボニート。
そのまんま「綺麗」という意味。
なんてったってこれがメインですから！
これに期待ですよ！
……しかし時間もなく、たまたまやってた代理店でちょっと場所はメジャーなところじゃないけど、格安でメジャーどころに迫るくらいの透明度という場所のツアーに申し込み。
ツアー会社のおばちゃんに、怪しいそぶりはなかった。
おそらく大丈夫だろう。
旅人歴長い俺のことは、なかなか騙せない。
また新たな穴場を開拓してしまったか？！
翌日。
………。
ちょっとおかしいぞこれ。
……いや、そんなはずはない。
きっと、泳ぐ場所はいけるはず。
何しろ町の名前がボニート（綺麗）だし！
……。
そろそろ結論を言おう。
1m先も、よく見えなかった。
東京の多摩川の方が、まだ絶対綺麗だった。
ドブ川の中を延々泳がされること、二時間。
多少汚いとかだったら、なんとなく怒りの余地がある。
このヤロー言ってたことと違うじゃねーかと。
……しかし。
ホントに、ドブ川。
ここまでいくと、もはや気持ちがいい。
奥歯に物の詰まったような気持ち悪さがない。
ボクシングで例えるならば、何だかおかしい判定で敗れるとメチャクチャ気持ちも収まらないが、完全にスコーンとKOパンチを喰らっちゃって負けたならば仕方ないと諦めがつく感じ。
もはや怒る気力もなくなっていた。
わざわざ遠くまで来たのに…。
一瞬、もう明日のバスチケットもキャンセルして、金積んでちゃんとしたとこ行こうかとも迷った。
が。
それは。
ボクシングの試合で負けた後、もう一回やらせろと言ってるのに似た感じがした。
負けは負けだ。
仕方ない。
代理店は、絶対に責任を取らない。
俺の負けだ。
予定通り、次に進もう。
……とも思ったけど。
帰り、出発直前のバス。
やっぱりここまで来たからには！
変更手続は五時間前までにと明記されている、このチケットの日時延期が一時間前の今万が一出来たなら。
伸ばしてリベンジだ！
……が、やはり無理だった。
今回は縁がなかったと、諦めた。
何年旅してても、まだ騙されるぜ…。
ちくしょう。
○旅情報 ブラジル ボニート
ボニートにて、フォルモーソ川は川下りする場所であって、シュノーケリングツアーに申し込んでは、ならない。
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