〈続き〉

スマホを俺からひったくろうとし、失敗するや否や急発進して逃げて行った違法改造メータータクシーの運転手。

十分後パトカーがサイレン鳴らして来ると、そいつが後からパトカーに続いて出て来た。

「あいつだー!」と言わんばかりに俺を指差し、警察官二人がこちらへ走ってくる。

一目で意味が分かった。

そういうことか。

俺は何もやましいことはしていない。(タクシー蹴ったのは除く。笑)

こういう時オロオロしたり逃げでもしようものなら、完全にこっちが不利になる。

逃げも隠れもしない。

むしろこちらから堂々と警察官に向かう。

「英語は話せるか?」

暗にスペイン語はそんな話せないよと伝える。

「NO」と警察官。

分かってるけど。

「こいつのメーターはおかしいぞ。ちゃんと調べてくれ」

「おまえ、金払ってないんだよな?無賃乗車したんだよな?」

「いや別に、金は払うよ。ただこいつのメーターはおかしいから。それ先に調べてくれよ。それとこいつはスマホひったくろうとしたんだよ!こいつはドロボーだ!それはどうするんだ?」

「スマホ取られたのか?」

「…いや、取られてはいないけど」

「じゃあいいじゃないか」

「取ろうとしたんだよ!」

実際には間一髪取られてはいないけど、明らかにひったくろうとした。

過去の意思未来の否定形。

この辺りのスペイン語が、正確に話せなかった。

「取られてないんだよな?」

「取られてないけど、取ろうとしたんだよ!こいつはドロボーなの!もう一度言う、ドロボー!ドロボー(スペイン語でラドゥルン)!その単語は通じてるよね?」

「…分かったからまずちゃんと金払え」

日本でもお互い揉めてても、警察呼んだ方の味方を基本的にするのは同じだ。

それがまして同じエクアドル人。

プラスこっちはスペイン語もチグハグ。

完全に向こうの味方だ。

…と、タクシーに車載カメラ発見!

「車載カメラあるじゃんか、それ確認してくれよ!」

「分かったからまず金払え」

「いや別に、無賃乗車するつもりはないよ。けどこんな近距離で定価の二倍以上だよ?おかしいでしょ?」

「いいからまず金払え」

「いいよじゃあ金払うよ。その代わりこいつを今すぐ警察に連れて行けよ?」

「ダメだこいつ、金払う気ないぞ」ともう一人の警官に言う。

「いや、金は払うって!けどコイツはちゃんと警察所つれてけよ?おかしいだろ!ただバスターミナルからここまで二倍以上だぞ?」

「いやその金額で別におかしくないよ」

後からまた違うタクシーで実際に乗車して確認したが、その金額はやはり確実におかしかった。

正直俺の主張も、どこまで警察官に伝わっていたかは分からないが。

「ここまで二倍以上になるのはおかしいでしょ?それちゃんと調べてくれよ」

「…分かった分かった。じゃあいくらなら納得いくんだ?」

「いや、いくらとかじゃなくて、改造メーターですよってば!」

「もう払う気ないよ。警察署連れてくか?」とまた。

「だから払いますってば!けどちゃんとこのタクシー運転手を警察署連れてってくれよって。俺ここで見てるから」

「だからまず金払え。タクシー乗ったんだろ?」

話は平行線。

「じゃあちゃんとドライバーを警察署連れてってくれよ?」

「分かったから、じゃあいくらなら払うんだ?」

ダメだこりゃ。

「…定価なら払うよ。それが相場だろ?」

「分かった。じゃあ定価払え」

「それでちゃんと約束通り麓まで乗せてくなら、払うよ」

「よしじゃあそれで手を打て。今すぐ払え」

分かった、ともう一度タクシーに乗ろうとすると。

「違うだろ」と警官。

「いや、ちゃんと乗せてったら払うよ」

「いや、上まではパトカーだ。今ドライバーに払え」

「パトカーで連れてってくれると?」

「シー(イエス)。そういうことだ」

改造メーターに関しては、完全に調べる気がない。

しぶしぶだったが、俺もそこで手をうった。

ドライバーに定価払い、パトカーで無事麓まで乗せてってもらった。

…まぁ、ちゃんと乗っけてってくれた分、警察官も譲歩したとは言える。

改造メーターとひったくり未遂に関して何も咎めないのは納得いってないが。
 
  
……って話。

しかし警察官は、最初から最後までほぼタクシーの味方。

こっちの言うことなんかまるで聞く気ない。

メーターのことは流石に伝わってただろうに、調べる気配もなかった。

油断してるところに、改造メーターとかいたりする。

以前に安心してたネパールでも、一度改造メータータクシーにあったことがある。

その時もおかしいとは思ったが、結局そのまま払った。

やはり海外では、ひと時も油断してはならない。

〈了〉

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で、その後乗ったゴンドラ。

〈一気に標高4100mまで!〉

「うおーー!すげぇ!」と思って行ったが、スキーのゴンドラリフトが夏景色になっただけって感じだった。。


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