食事中の方は、どちらかを後にしておいた方が懸命です。
当然のごとく世界遺産にも登録されているロライマ。
その山頂を穢してはならない。
生態系も一切崩してはならない。
そのためのルールとは。
なんと。
ウンコを持ち帰らねばならないのだ。
念のため、もう一度言おう。
ウンコは、お持ち帰りが義務付けられている!
とは言え、それもポーターが運んでくれるんだけど。
人のウンコまで運ぶとは、ロライマのポーターも楽じゃない。
で、その方法。
いよいよロライマ登頂を明日に控えた晩、ガイドが身振りを交えて説明してくれた。
ビニール袋をこうしてケツの下に持ってきて、そこにアンダーブローをキメろと。
消臭剤みたいのもあって、その白い粉を必ずビニール袋の中に一緒に入れとけと。
ケツ拭いたトイレットペーパーも袋の中にそのまま入れとけと。
このウンコ袋と消臭用の粉は、皆のテントからちょっとだけ離れたあの辺に置いとくからと。
……っおーう。
聞いてはいたが、中々だぜ。
スキルを要する野グシングだ。
山頂にいるのは、約2日間。
頑張れば、我慢できるかもしれない。
できれば、野グソキャリア二回目の初心者野グサーとしては、そんなハイテクニックを要する野グソ、略してハイテク野グソ、さらに略してハイ野グは避けたいところだ。
なんてったって初心者野グサーだからね。
野グソの現在進行形は、確か英語で野グシングだった。
野グソする人のことを、確か英語で野グサーと言った。
しかし受験には出ないので受験生は覚えてはいけない。
…ハイ野グをいとも簡単にやってのける達人達を、プロ野グサーというらしいぞ。
プロ野グシング東洋太平洋チャンピオンとかになると、ホントに大変な野グソを、ちょちょ~いとやっちまうというウワサだ。
夜。
一人用テント。
腹の調子が、おかしい。
腸がギュルギュルいってる。
どうも軽く腹を下したようだ。
あ、屁が出る。
ぶうう~~
ロライマの静かな夜に、ワタクシの放屁が響き渡った。
「ブビャヒャヒャヒャ~~~!!」
どのカップルかは分からないが、近くテントのカップルが爆笑する声。
…ちなみに、俺等のチームはゲストが七人。俺以外は3カップルだった。
ワタクシだけ一人テントだった。
他はポーター二人とガイドが一人。
さらに放屁が止まらない。
ブウウウウ~~
「ブヒャヒャヒャヒャヒャ~~!!」
ダメだ。
これはやはり、山頂でもやるしかない。
ワタクシは意を決した。
〈こうなれば完結まで続く〉
写真はロライマ山頂固有種の植物