〈昨日の続き〉


警官と軍人による金品巻き上げが常態化しているベネズエラ。


バスでの移動中、深夜俺だけバスを降ろされた。


  

…ところで、大勢で人質になった際に、生き残る方法をお伝えしよう。


…うん、今日も即実生活に使えるブログだ!


「人質になることなんてこの先の人生でねーよ!」などというツッコミは全く聞こえない。

 

  

どうすればいか。


答は簡単。


とにかく目立たないこと。


というのは、人質になって最初に殺されるのは、良くも悪くもとにかく犯人の目についてしまった人間からというのが、データで出てるからだ。


まぁ普通に生活してたらまずあり得ないことだけど、どこか頭の隅へ。


  

で。


この時の俺。


…ツルッパゲ(季語)の眉無し!


  

……。


これで目立たないワケがない。


俺はこのブログに、マジで命かけてるんじゃないのか??


  

…ともあれ。


ブログでウケを狙ってツルッパゲ眉無し、それもおそらく少しは関係して、ベネズエラ田舎道にて夜中軍人にバスから降ろされた。


こちらのバスは、平気で乗客置いて行くことも多い。


運転手に、必ずちょっと待っててねとアピール。


運転手も了解してくれた。

 

 

目付きの悪い軍人に個室へ連れて行かれ。


なんでここに来たんだとか、なんちゃらかんちゃら。


スペイン語分からなかったが、言葉通じない方が向こうも面倒なので、こっちは特に焦らない。


違うこと聞いてるのは分かっていたが、ブラジルから来て次はコロンビアに行くんだ、旅行中なんだと言う。


パスポートの入国スタンプがないぞとなり、そんなのイチイチ確認してないよと思いつつ、適当なとこを指差したり。


眉毛の太い目軍人に、しばらく取り調べ(?)を受けた。


こちらも悪いことはしていない。


毅然と、かつ相手を感情的にならせないよう対応。


10分くらい。

  

 

「…行け」と。


ご協力ありがとうくらい言えと思いつつ、無事終わった。


特にパスポート以外は調べられなかった。


やはり荷物検査だなんだとか言って、現金が見つかるような事態にならなければ大丈夫なようだ。


現金は見せてない。


それもそのはず、ちゃんと隠しておいた。


その時は特に見せろとも言われなかったが、見られたら終りと言われているので。


   

その数日後。


もうバス移動はバカらしい。


ベネズエラは国内線がおそらく世界一安い(正規の値段が11ドル1200円とか・呆れた公定レートのプラスの遺産か?)のもあり、国内線で移動。


これならあの煩わしい荷物検査もない。


夜中何度も叩き起こされることもないし、現金を警官達に奪われる心配もない。


ベネズエラは国内線に限る。


で観光地から観光地へと。


それが楽で安全だ。

 

  

手荷物のX線検査。


ホントに現金とカードとパスポートのみ入れてる腰巻は、外さなくてもだいたいいける。外から見えないし。係員も気付いてても危険物でないことは分かっているので、ピーとブザーが鳴らなければ問題ない。


ここベネズエラでは、なるべく片時も現金を身から離したくない。


そのまま行こうとしたら、止められた。

 

  

その腰に付けてる腰巻も通せと。

  

 

…まぁ言われたら仕方ない、腰巻外して、X線検査の中に流した。

  

 

それに、反応した人間がいた。


そこにいたガードマン。


X線検査機を通った腰巻を見たガードマンが、後ろの人間に何か言った。


その後ろから現れた人間。


悪名高い、ベネズエラの警官の登場だった。


ガードマンが、警官に腰巻のことを伝える。(スペイン語聞き取れなくても何言ってるのかは確実に分かった)


するとやはり、警官は勝手に俺の腰巻を手に取る。


おいおい、ちょっと待て、それは俺のだ。何するんだと警官から奪い返そうとすると。


「この中には何が入っているんだ?」と。


…しくじった。


まさかひとっ飛びするはずの空港内でこれが待ち受けてるとは予想してなかった。


現金はまるまる腰巻の中に入れっぱなしだ。


腰巻の貴重品入れに入れてるもの??


現金とパスポート、カードに決まってるだろ!


少なくとも危険物が入ってるわけねーだろ!


「ちょっと調べる。こちらへ来い」


なんで貴重品を調べるんだよ?


しかし相手は国家権力を存分に振りかざして来る。


仕方なく、荷物を持って別室へ。


「荷物検査をする」とは言うが、荷物のたんまり入っているバックパックには目もくれず、最初にウエストポーチ。


財布の中から、なぜか現金を勝手に取り出す。


おいおい、ちょっと待て、とこっちも必死だ。


他の警官や軍人も、一緒に手を出して来る。


お前ら手を出すな!と。


なぜか現金だけを全て取り出し、机の上に並べる。


それが終わると当然のように、と言うかいよいよ、腰巻の中も見せろと。


中を全て引っ張り出す。


目指すは現金だ。


カード類には目もくれず、現金を全て取り出し、種類別に一枚一枚全て数え上げ、机の上に並べる。


ぬかった。


まさか都市間を安全にひとっ飛びしようとした空港で、これがあるとは…。


「500ドル以上の現金は持ち込みが禁止されている。(ウソ)」と言ってそれ以上のお金は全て没収、もしくは今回は200ドル没収だけで勘弁してやる、という話も聞いていた。


今ここの机の上に並べられて数え上げられた現金(結局バックパックは触りもしなかった!)は、一万円札が10枚と、ドルが1500ドルほど、ユーロは200ユーロほどだった。


周りは国家権力を振りかざす、軍人と警官。


完全な密室。


目の前にはバッチリ数え上げられた日本円にして三十万円近くの現金。

 

  

やられたか。


〈続く〉


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写真はロライマ固有種の食虫植物。虫を食べて成長する植物なのだ。