〈指が何本もないパプアの女性。親しい人間や親族が亡くなった時、哀悼の意をこめて指を落とす風習が今も残っている〉
(前回の続き・パプアの山奥で日が暮れ、俺はクリスチャンスクールに辿り着いた)
んで、そのクリスチャンスクールでも、やはり聞かれた。
宗教は何ですかと。
…ちなみに、宗教は、英語でreligion。
「出る単」の最初の方にあったよね。今は「英単語ターゲット1900」におされて使ってる人少ないみたいだけど。
やはり抽象単語ってのは大切なわけですよ。説明しづらいから。
…んで、宗教聞かれた俺はいつも通り仏教徒(ブッディスト)だと答えた。
いつもはああそうですかで終わるんだけど。
その時はそこからが違った。
彼等は、若い教員達。
山の中での教員生活に、やや飽き飽きしてる。
日本から来たプロボクサーの旅人の話に、興味津々。
特に他宗教の話にも、興味を示し、色々と突っ込んで聞かれた。
「やっぱ日本人は仏教徒が多いのか?」
「うん、全員じゃないけど、やっぱり多いね。クリスチャンもいるよ」
「やっぱり両親から仏教を学んだのか?」
自分の親から仏教の仏の字も聞いたこともねぇ。
「えーーっと・・・、まぁそんな感じですな。うん、親から学んだ。親から」
「仏教の世界観について話を聞かせてくれないか」
おおーーーと盛り上がってる。
が、しかし。
こっちもおおーーーーっとっと!
むむ?
話は若干まずい方向にいきだしたぞ?
何だ仏教の世界観って?
両手すりすりして拝むぐらいしか知らねーよ。
パンパンが神社で、すりすりがお寺だ。…だよね?それすらも確かではない。
「え?はい?」
「例えば、聖書は『光あれ』で始まるだろ。永劫不滅の神が、
まず光を作った。それから一週間でどーのこーの・・・。
私はクリスチャンであり、そうやってこの世界が作られたと私は
信じている。・・仏教では、この世界はどのようにして作られたと
されているのか?」
大真面目に聞いてくる。
さすがはクリスチャンスクールの若き先生。
知的好奇心旺盛。
つーか、聖書の光あれとかは有名だけど、仏教ではどうなってんだ??
知るかーー!
「えぇっっとぉーーーー、まぁーーーなんて言うかぁ・・、
仏教では輪廻転生ってのがあって、(そん位しか知らない)・・えーと・・だから・・
まぁ・・・前世もあったわけで・・・うーんと・・・いやー、
パプアって、それにしてもいいところですね!」
「・・・すると、どうやってこの世界が作られたと信じているんですか?」
「・・ええっとーーー、まぁ、パプアってのは緑がいっぱいでいい所ですね!」
パプアは良い所に話をすり替える作戦。
かなり苦しいながらもなんとか違う方向に話がいったかと思いきや。
「では、仏教では特別なフェスティバルの日とか曜日はあるんですか?」
「はぃぃ?」
「例えば我々クリスチャンは日曜日に教会行ってお祈りをする。クリスマスには何日もかけてイエスの誕生を祝う。
イスラム教徒は金曜日が祈りの日ですよね。
仏教は特別な日とかあるんですか?」
仏教の特別な日?
なんじゃそりゃ?
釈迦入滅とか?
知らんがな。
「ぇぇえええーーーとですね、・・あれ?英語がよく分からない
のかな?スペシャルデイ?ブッディスト?うん?」
俺は英語がよく分からない作戦に出た。
まずい時はこれに限る。
するとクリアな発音で言ってくれる。
「ホワットイズ スペシャルデイ フォー ブッディスト?」
英語苦手な人でも分かるんじゃないか。
「ン?ン?スペシャルデイ?ン?」
まだ頑張って英語分からないふりをしてみるが、
「ホワットイズ スペシャルデイ ブッディスト?」
と聞かれて、分かりにくい単語なんてどこにも見つからない。
「えぇーーと、まぁーーーなんて言おうか・・まぁいわゆる
いい感じだと思いますよ・・・」
自分でも何言ってるか意味分かんねえ。
その後も何言ったか正確には覚えてもないが、とにかく困ったことだけ覚えてる。
こんな意味不明な日本人を、快く仲間に加えてくれた。
いい場所だったなぁーーー。
しかし、迂闊に仏教徒名乗るのも大変なことになったりするんだなーー。
・・・って話。(←パクり)
そしてさらに、この時の違う話がもう一つだけある。。
明日は恋バナ!