22日水曜日、コスメル現地入りした当日。

公開練習と聞いていた。

軽くでいいから、何かやってくれと。

何も手の内をわざわざ見せることはない、練習メニューはカンクンのジムでしっかり
こなしてから行った。

この辺りも、勝手がよく分からないまま初めての会場に連れて行かれることになる。

しかし、水曜までしっかり練習終えたので、最後二日間疲れを抜くとすると、木金。
よし、ジムワークも終わりだ。スケジュール的にはちょうどいい。

会場に着くと、海沿いの普通の大きい公園。

そこにリングが作られている。

椅子の席は今さっき組み立て始めたところといった雰囲気。

リングの感触を確かめる。

うんうん、カンクンのジムほどはひどくない。ふにゃふにゃしてない。

中央の辺りがふにゃふにゃしてた。

たぶんここだけスポンジ詰まってるんだろう。

後の部分はわりかし平気。

・・つか、中央の部分だけ明らかにぽっこり盛り上がってふにゃふにゃの
リングってのも、日本じゃあり得ないよな。


・・あり得ないと言えば、小さなことだが一つ気付いた。

リングが、全体に傾いている。

海側の方、青コーナーから赤コーナーの方に。

日本ではまずあり得ないことの連続だが。
あり得ないあり得ないじゃなくて、置かれたその状況をいかに自分でプラスの方向に持っていくか。

そこが勝負の分かれ目だ。特にアウェーでは。

高い位置から攻めた方が有利なのは、自明の理。

メチャクチャ傾いてるわけじゃないからそこまでは変わらないだろうけど。
リング上がってすぐ感覚で分かるくらいだからそれなりのものだよな。

・・ただ、それが1%でも構わない、俺に有利になるなら大いに歓迎だ。

攻めるときはなるべく青コーナー側から海に向かって。

守る時も同様の方向がいい。

特にもみ合いになった時は上からの方が有利だな。

日本のリングにはあり得ないし、誰も教えてくれはしない。

自分の頭と身体で感じて行動に移すのみだ。


・・・が、しかし。

試合3日前くらい。

試合当日の天気予報は、降水確率は50%。

会場がまた変更になったそうだ。

別に今さらどうということもない。

俺は動じない。