最初に、試合会場のコスメルにほど近い、カンクンに入った。

今回はウクライナの時みたいにテレビカメラが待ち構えているとかいうことはなかった。


ロスやラスベガスで調整するかという選択肢もあったが、なるべく早く現地の「空気」
を吸っておきたかった。

アウェイでやる場合の不調の原因の一つは、「空気」としか言いようがないものだ。

正確には食べ物とか環境とかを全て含めたものなんだけど。

これを感じたのは、日本と時差のほぼないフィリピン武者修行をやった時、
最初は調子上がらなかったからだ。

もちろん、気温や天候や移動疲れもあるだろう。

それら含めたもの全て。

だから、俺はなるべく試合会場に近い場所に早く入りたいと希望した。

会長は、叶えて下さった。


カンクン入り初日は、さすがに休んだ。

移動疲れも計算には入れていた。

「移動で疲れるからな。計算に入れとけよ」と繊大さんがアドバイスしてくれてたからだ。

平均気温はすでに30度を超えていたが、俺等が入った時は25度くらいで、
日本とほぼ変わらなかった。

その日雨が降って涼しくなったそうだが。

ただ、本番でおそらく30度を超えてくるのだと思うと、むしろさっさと気温が上がって
ほしかった。

それに早く慣れたいから。



暑さ対策。

これも「空気」に慣れるうちの一つだ。

当初気温が低かったため、そんなこともあろうかと用意しておいたサウナスーツ。

現地に着いてからハッキリと聞いたが、屋外だそうだ。

炎天下で、相当暑くなることもあり得る。

・・・太陽とかまぶしくないのかな?

・・・結果から言うと夜だったので、炎天下ということはなかったが・・・。

しかしとにかく、アウェイでやる時の心構えは、バーリトゥード、なんでもありだ。

何があろうが当たり前。

動じてはいけない。

全てのことに備えなくては。

・・・全てのことに備える、というよりは、何が起こっても慌てない、動じない。

リングでは一対一で戦えるんだ。

暑さ対策もしかり。

一度なんて上下サウナスーツで炎天下の中走ったら、40分ほどで3キロ減った。

試合の五日前くらいだったかな・・。