スパーVSホルヘ・リナレス。5R。

俺は普段、スパーを勝負にはしない。
自分なりでいい、その日のテーマややりたいことを試したり練習したりする。
そうでなくただがむしゃらに打った打たれたやってても、長期的に見た場合の効果は薄い。
昨日話したイメージね。
それものすごく大切。

最近やはりと言うか、それを感じたのは亀海。
俺がショルダーブロックを外す打ち方したらわざとショルダーブロックにこだわってたからね。
打たれようともやめなかった。
実験してたのさ。スパーで。
後で聞いたらやっぱりそうだった。
その実験に関しては、失敗しても俺は痛くないからこれでもかってくらい乗ってあげたけどね。

普段もっとやる時、俺は1Rごとに戦術のテーマを変えて実験したりする。
嘘だと思うなら繊大さんに聞いてみればいいよ。

…で、だけど。
ホルへが相手の場合。
実験なんてやってる余裕は全くない。
ただ全力でいく。
あらん限りのスピード、パワー、テクニック、戦術を駆使して。
それでまた期待以上のパフォーマンスをしてくれちゃうから、こっちも面白い。
極上の面白さだ。

「ホルへ相手の時は動き違う」と大和も言ってたけど。

…あと実はもう一つあって。
ホルへのスパーは会長が見に来るのさ。
それでいいとこ見せとけば、やっぱ佐々木もって話になるかもしれないじゃんか。
「いや、実験なんです!」なんつったってポコポコやられて弱いヤツにチャンスやろうなんて思わないじゃんか。
ここはいっちょいいとこ見せとかんとな。
…思うようなシーンは見せられてないが…。

今日は自分も動けたが、やはりオーソドックスにボクシングしたらホルへに分がある。
今日はムキにさせることができなかった。

「明日もホルへとできるか?」繊大さん。

「余裕っす」

明日までにもう一度スパーのビデオを自分で見て、研究し、どこか改善点はないか、こういう風にしたらどうか、等のアイデアを練る。
そしてそれを試す。
その結果でまた分析し、試行錯誤を繰り返す。

世界のレベルを俺は超えるんだ。