高倉健さんが亡くなったというニュースを聴いて、

すぐに、


江利チエミさんの事を思った。


そして、仕事への移動中、ずっとチエミさんを聴いた。


数年前、雪村いづみさんと同じ舞台でご一緒して、


初代3人娘のファンの私は、


もう、嬉しくって、


話しが沢山聴きたくて、本番前にいづみさんの楽屋に押しかけた。


いづみさんは喜んでくれて、


「いつも私は本番前食べないんだけど、今日は嬉しいわ。」と仰って下さって、


いづみさんの楽屋の化粧前だと言うのに、


二人でヨックモックも食べながら(ご馳走になったのだけど)、


いろいろな話しをしてくれた。


「それぞれに愛した男の人がいたのよ。健さんは飛行機チャーターして来ちゃったんだからさー。いろいろあるよね。」


それを聴いて私はぶっ飛んだ。


戦後のモミクチャな時代にスターだった人は、


本当にスターで、そして孤独。


孤独を楽しんでいるくらいの余裕さえ感じる。


健さんはチエミさんを、


チエミさんは健さんを、


心から愛していたに違いない。


いづみさんも、


ひばりさんも、


ぶっ飛んだ人を愛した。


高倉健という映画俳優、


日本を代表するスターは、


チャラチャラしてきた時代に、


チャラチャラ出たりしなかった。


潔くて素晴らしいスターだと思う。


一人また、この世からスターの身体は消えてしまったことは、


とても哀しく思うのだけれど、


チエミさんは、ずっと待っていたような気がする。


健さんのことを。