歌謡コンサート。


たくさんの方に観て頂き、激励のメッセージの数々…


本当にありがとうございました!


放送から日にちが経ってしまいましたが、


忘れられない日になりました。


今回、ひばりさんの命日に「一本の鉛筆」を歌わせて頂いたことは、


私にとって特別な思いでした。


この歌で伝えたい思いは、


「人間のいのち」という言葉に、私の心は凝縮されていて、


呪文を唱えるように、その言葉を思いながら、朝電車にのると、


中央線が人身事故でストップ。


私の乗った中央線の前の電車に、飛び込みがありました。



通勤ラッシュの電車は大騒ぎ。


一時間近く止まってしまいました。


「吉祥寺駅大変な事故みたいだよ…」


「なんで飛び込んでしまったのだろう。」


そんな言葉がザワザワと聞こえるホームで、


私はとても悲しい気持ちになりました。


それはそれは多くの人が移動で使う電車だもの、


急いでいる気持ちもわかります。


私だって、急いでいました。


そんなとき、ある人は駅員さんに


「動かせ、このやろう」と胸ぐらを掴み、


また、ある人は、その駅員に唾を吐きました。


その光景が、私は悔しかったです。


その駅員さんのせいではないのです。


その時間のせいで、仕事に遅れたり、もしかしたら人生が変わってしまったかもしれません。


私もまた、予定の新幹線に一時間も遅れ、初出演にも関わらず(随分と東京駅に早く着くように乗ったのに)、


音合わせの遅刻をしました。


だから、放送に携わる周りの方にご迷惑もかけてしまいました。


突然の事故なのか、自殺かはわかりません。


前者であることを祈ります。


もし、後者であったとしたら、


死ぬくらいの勇気があるならば、なんでも出来るじゃない…とも思います。


生きることは、苦しいことも山程あります。


自分なんか、もう必要されていないんじゃないか…と思うことだってあります。


でも、生きたくたって生きられない命もあるのです。


生きて、生きて、生き抜いてほしいのです。


私はそのことを歌にしたいと思っていたのですから、


その光景は、とても、とても哀しかった。


胸ぐら掴まれて、唾まで吐かれても、深々と頭を下げ続けていた駅員さん。


あまりの混雑に貧血をおこされた女性。


泣きじゃくる子供に怒鳴る大人。


衣装の入った、私のスーツケースを思いきり蹴飛ばした大人。


自分のことをぶつけることで晴らそうとする人たち。


電車で亡くなった人の命。


悔しくて悔しくて、やっとの思いで、新幹線のホームに着いた時、私は泣きました。


これから私は「人間のいのち」を歌う身です。


リセットするには、あまり時間がありませんでしたが、


いろいろな思いを抱えて歌に臨みました。


そして、生放送が終わって尚更「歌い続けたい」という気持ちが強くなりました。


翌日東京に戻ると、また人身事故。


捨てるほどの命なんて、この世にはないのです。


せっかくこの世に生まれてきた、大事な命。


いつかは、誰しも、あの世へ行かなければなりません。


その時、自分に対して、「ご苦労様でした。」


そういってあげなければ、命があまりにも可哀想じゃないですか…。


一人になってしまったとしても、人は一人じゃない。


私、という、もう一人の人がいる。


「人間のいのち」。


大切にして下さい。


私も大事にしたいと思います。