家へ仕事のファックスが次々に送られてくる。





それを見ながら、





このブログを携帯電話で更新しています。





携帯電話にEメールにファックス…連絡を取る手段は豊富に選べるほどの時代。





愛する人の声だって、すぐに聴ける幸せで便利な時代です。





そんな中、家には手紙やハガキが良く届きます。




便箋にしたためた文章、心をこめた文字と、様々な封筒や、美しい切手。




時間がかかっても、その手紙から伝わるエネルギーは素晴らしいものです。





私は手紙をもらうのも、送るのも好きで、なかなか捨てられないのが難点で箱いっぱいになってしまうのだけど、文字とはなんと素敵なコミュニケーションの仕方なのだと思うのです。





便利なものは便利に使い、心の襞などは時間がかかっても文字にしてみるのが好きです。





ついこの間、友人に書いた手紙の封を閉じたところで、その方から携帯がなりました。





あれこれ話して、「あ。そういえば書いたこと全部喋っちゃったな」と電話をきって数日後、今度は手紙が届きました。





そこには「先日の電話でお話した内容がそのままでしたが、こうして手紙で読んでいると伝わってくるエネルギーが違うんですの。ご自愛なされて下さいませ」と書かれた文章に心暖かくなりました。
日頃、逢って話すときにはスラングのようなもので話しているのに、手紙となると敬語体となり、ございます調になるのも、また心地よく感じるものです。




一線をおいて、会話が出来るなんていうのは手紙ならではの作業なのでしょう。





相手を思いながら便箋や封筒、切手や筆記用具を選ぶのも、アナログながら大変楽しい作業でもあるのです。





今欲しいものは、ブルーブラックのちょっと太めの万年筆と、ぺん先とインクです。





そういえば、私が高校生の時に、内弟子としてお世話になった能楽師、故・橋岡久馬先生とのやりとりは手紙が多かったことを思い出しました。





徹底的に旧かなづかいで書かれた文章は読みにくいものだったけど、その手紙は私の宝物です。




新宿区に送る郵便物を「淀橋区」と書いてしまう大先生のこだわりに、感激したことを今もハッキリ覚えています。






郵便屋さんは大変だったと思いますが…。





私への手紙には「仏蘭西音楽の研究にむけ努力なされて下さいませ」とありました。
それにボードレールの一編の詩を訳してありました。





そんなロマンティックなやりとり、私も足の爪でも煎じて、見習ってみたいと思います。



ガー「ファックスの音」




あ。無事ファックスがすべて届きました。





便利ですね~。