満開の桜、その木々の下を | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言

 

 

 

 

終わってしまった命に
きちんと「さよなら」出来たのだろうかと
はじまりの季節を前に
考える




父の棺に入れたポエムは
「さよならへ向かうはじまりのために」
そんなタイトルだった
最期は花に埋もれて
見えなくなった
花畑の中に ぽつんと父の顔
棺の蓋が 閉じた




あなたにも チェルシー あげたい
「さようなら」
潰れたライブハウス
「さようなら」
通い慣れた音楽スタジオ
「さようなら」
ホームズ
「さようなら」
お父さん
「さようなら」
さよならだけが人生 なのだとしたら
出会えて良かった
見上げれば今年も




舞い落ちる花びら、

抱きしめて歩こう
満開の桜
その木々の下を