お守り | 何もない明日

何もない明日

朗読人の独り言

 

 

 

 

個包装の黒猫クッキーを
一枚だけ猫の絵のハンカチに包んで
「割れないように守ってね。」と呟いてから
ショルダーバッグのポケットに入れて
いつも通り出勤
不思議な事が起きた
ぎゅうぎゅう詰めの電車内で
そこだけに空間が出来る
そこだけが守られている




なんて気のせいかな、
と乗換駅のホームで
次の電車を待つ足元にお守りが落ちていた
真っ白いお守り
誰が落としたのだろう
落とし主は無事だろうか
落としたその先も




「割れないように守ってね。」の効果だろうか
個包装の黒猫クッキーは
無事会社に辿り着いた
猫の絵のハンカチを
丁寧に畳み直して
ポケットに仕舞った
ショルダーバッグの