今日は公益通報者保護について、外形的な部分だけですがお話しします。
8月29日の日経朝刊から抜粋します。


公益通報者保護を申し立て 「たかの友梨」従業員

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エステティックサロン「たかの友梨ビューティクリニック」の仙台店(仙台市)の女性従業員が28日、残業代を減額されたなどの問題を労働基準監督署に申告した行為を会社側が非難したのは公益通報者保護法などに違反するとして、厚生労働省に申し立てをした。

申立書や会見によると、経営する不二ビューティ(東京)の高野友梨社長が8月、仙台店の従業員を集め、女性が労基署に申告したことなどを非難。
高野氏はその際「暴き出したりなんかして会社をつぶしてもいいの」と述べたという。

ここまで


「公益通報者保護法」なんていう法律名を聞いたことはありますか?
内部告発、つまり公益通報(公益のために会社の法令違反行為を通報するというイメージ)した人を、解雇や減給などの不利益な取扱いから守るというものです。

かつて、食品の消費期限改ざんの問題が公益通報により明るみになったこともあります。


通報できる先は、以下の3つです。通報先により要件が整えられていますので、ご注意ください。
1.事業者内部
2.監督官庁や警察・検察等の取締り当局
3.その他外部(マスコミ・消費者団体等)

3.のマスコミなどへの通報はインパクトは強いでしょうが、通報者はそれに先立って1.の企業内での是正努力や2.の監督官庁などへの通報を先に実施することが必要であると言われています。
この辺りに関しては、社内の規定でそういう取り決めをしておくことが必須だと思います。
いきなりマスコミに告発されては会社もたまったものではないでしょうから、ぜひ就業規則などの規程をご点検ください。


さて、今回の件…
新聞記事だけでは読み取れないのですが、残業代の減額だけであれば、以下の通り、労働基準法104条に基づいて申告することができます。

(監督機関に対する申告)
第百四条  事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
2 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。

女性従業員は、この労働基準監督官への申告した行為について会社から非難されたことは、公益通報者保護法にも違反すると主張しているのでしょう。


外形的なお話ししかできませんでしたが、そのような顛末だと思います。

この「公益通報者保護法」ですが、442もの法律に対する違反行為に関して通報者を保護しています。
ご興味ありましたら(→ここ)。