労働時間の規制緩和について、政府内でせめぎ合いがあります。5月29日の日経朝刊から抜粋します。


労働時間規制を緩和 高度専門職、働き方柔軟に

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管理職以外も労働時間規制を外すホワイトカラー・エグゼンプションの導入は、日本の雇用制度を見直す一歩となる。ただ厚労省は同日の会議で制度導入こそ容認したものの大幅な見直しには慎重だ。対象者を制限すれば規制緩和の効果が発揮できない可能性がある。

制度設計の焦点は年収による線引きだ。田村憲久厚労相は対象を「成果をはかりやすい高収入の専門職」とした。競争力会議の民間議員は年収1000万円以上とする案を4月に出したが、厚労省内にはさらに高収入の雇用者に限る声がある。

対象の職種も焦点だ。厚労省は研究者や金融のディーラーら「世界レベルの高度専門職」を念頭におく。民間議員は商品企画や海外事業のリーダーら管理職手前の人材にも広げるよう求める。

成長戦略担当の甘利明経済財政・再生相は「厚労省案は限定的すぎる」と指摘する。厚労省は民間議員が求める管理職手前の人材は、深夜・休日の手当が残る裁量労働制の拡大で対応する考えで、制度を巡る溝は深い。
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厚生労働省が必死で規制緩和をしのいでいる図式です。
私見ですが、私はそれでいいのではないかと思っています。


残業代が出るとか、出ないとかが焦点になっている気がしますが、もっと大事なことは労働時間の管理の問題です。
時間管理の問題に関して、過労死・過労自殺や精神疾患(メンタルヘルス)の発病との絡みで考えるべきです。
長時間労働が、これらを引き起こす原因となっています。
労働時間の管理に関する規制が無くなると、働き過ぎや、あるいは働かされ過ぎという現象が起こることが予想されます。


私は、会社による一定度の労働時間管理の義務は必要だと考えます。
よって、(1)現行の専門業務型裁量労働制の適用職種を拡大することと、(2)現行の企画業務型裁量労働制の導入要件を緩和しつつ、その適用職種を拡大することで良いのではないかと考えています。


その代わり、専門業務型裁量労働制に関しても行政の関与を強め、企画業務型裁量労働制の報告義務と同様の義務を課すことで、使用者と国の責任を強めればいいのではないでしょうか。
これは規制強化につながりますが、過労死防止法案が検討されている中、国の関与は必要だと考えます。