猫鳴り | こぶたのしっぽ

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猫鳴り (双葉文庫)/沼田 まほかる
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ようやく授かった子供が流産し、悲しみとともに暮らす

中年夫婦のもとに、一匹の仔猫が現れた。

モンと名付けられた猫は、飼い主の夫婦に対して

不思議な存在で寄り添う。

そして、20年の歳月が過ぎ、モンは最後の時を迎えていた。



最初、読み始める前まではほのぼのした話かと思っていましたが、

とんでもない。

「死」を厳かに受け入れ、命の限り生きるモンの姿は、

読んでいる自分に、何らかの道筋を与えてくれるような、

導きをくれるような、そんな気にすらさせるものでした。

与えられた命を最後まで全うするモンの姿が目に浮かぶような

その描写、文章を読んでいて思わず涙してしまいました。

この小説は、何年かした後、もう一度読み返してみたい、

そう思うような素晴らしい小説でした。