水無川 | こぶたのしっぽ

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見たこと聞いたこと、感じたこと思ったことを、書いていけたらと思います。

水無川 (集英社文庫)/小杉 健治
¥630
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「水無川」を読みました。


担任していた児童が親の虐待で死亡するのを防ぐ事ができず、教師を辞職した真壁。


彼の恋人真美は幼い娘への暴力をやめられず苦しんでいる。


心の傷を慰めあうような二人の関係。


だが、真美はしだいに隣に住む謎めいた男・野口に惹かれていく。


しかし、野口にはおそろしい秘密があった。


親と子の愛情、家族の絆の再生を描く。


物語は、真壁が動く事によって展開していくのですが、真壁自体はあまり話の中心にはいなくて、


あくまでも物語を動かしていく役割になっていると思います。


この作者は、1人1人の人間の生き様を描く事にかけては、痛いほどリアルに描写する作家だと


思います。


リアルの中に一筋の光は見せて、救える部分は救いますが、基本、現実としてどうしても裁けない


悪の部分はそのままというか、へんに綺麗にまとめることなく、コレが現実だと、


それはそれとしてバシッと描く部分、私はこのやるせない部分も含めて人間賛歌だと


思っているので、私はこの作者の作品は何作か読んでいますが、どれもその作風は好きですね。


(あたまっち)