- 片眼の猿―One-eyed monkeys (新潮文庫)/道尾 秀介
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「片眼の猿」を読みました。
盗聴専門の探偵、目下の仕事は産業スパイを洗い出すこと。
楽器メーカーの依頼でライバル社の調査を受けるうちに、冬絵の存在を知った。
同業者だった彼女をスカウトし、チームプレイで核心に迫ろうとしていた矢先に殺人事件がおこる。
否応なしに渦中に巻き込まれていく主人公・・・。
「片眼の猿」というタイトルも気になったこの作品。
最初はミステリー色が強い作品なのかと思っていたけど、
作品の本質というかテーマはそこにはなくて、どちらかといえば
”生”の人間を描くという部分が作品の根底に流れるテーマのように思いました。
「自尊心」というのがキーワードですが、そこのところに絡んで初めて「片眼の猿」の意味も
分かります。
「ああ、なるほど、そういう意味でのこの言葉かと」思うわけです。
ラスト軽くひっくり返されるのですが、
「あー、こーゆー切り口の描き方があるんだ」と、
新鮮な感覚を覚えた作品でした。
(あたまっち)