- 一応の推定 (文春文庫)/広川 純
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「一応の推定」を読みました。
膳所駅で轢死した老人は、事故死だったのか?
それとも愛しい孫娘のための覚悟の自殺だったのか?
ベテラン保険調査員・村越の執念の調査がたどり着いた真実とは?
保険業界の裏側、臓器移植、現代社会の問題点を描いた作品。
面白かったです。
まず、保険調査員というところが、謎解きの小説として視点が変わっていて新鮮でした。
保険調査員というのがどういう仕事で、保険会社の中の実情もなんとなく分かって興味深かったですし、
一方の臓器移植の問題も、日本の法律では、小さな子供の場合はまだまだ法的整備など、諸々の問題や課題があることも読んでて分かります。
そして、長引く不況。
決して軽いテーマの小説ではありませんが、自分の置かれた状況の中で、各々が自分の信念を信じて必死に生きていく様を描いている作品だと思うので、読み終えた後は後ろむきな気持ちではなく、前を向いた気持ちのまま読み終えることができます。
「一応の推定」。
そういう言葉があることも初めて知りましたし、得るものが多い作品でした。
(あたまっち)