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藩主と藤丸が大広間に、家老・加藤の三男を呼び付けた。

その脇には、城代家老・大杉とその配下がいた。

大杉は、大広間に只ならね殺気を感じた。

それは、双子の兄の藤千代の死の真相を知った藤丸が発したものであった。
例え、お家騒動を抑える為とは言え、大杉の手によって兄は暗殺されたのだ。
藤丸は怒りを抑えようとしてたが、殺気は体から漏れてくる。

その藤丸の様子を控えの間から見て、近習の変装をしていた清吉は、緊張感が高まって来た。

藩主に加藤の三男は、先程大杉に自供した通り、昨夜の藤丸襲撃犯は兄の仕業であり、その責任を取り兄は切腹した事を報告した。

藩主から、理由を問われた三男は、若い藤丸様が藩主になったら、外祖父の大杉の藩を我が物にすると、兄が恐れた為と答えた。

そこに大杉は、口を挟んだ。
重い病気にかかっていた長男が一人で行えない、きっと父の加藤が関わっている筈だと、藩主に申し上げた。

三男は、父の関与を否定した。
その証拠として、襲撃した浪人から見付かった兄の手紙では、気弱な父を強引に隠居させて、自分が家老職を継ぐと書いてあった事、襲撃を止めようとした自分を蔵に閉じ込め、父を部屋に監禁した事を挙げた。

藩主の手元に、その手紙が渡された。
読むとその通りの事が、綴られていた。

藩主は、三男に父の加藤はどうしているか聞いた。

三男の顔が、険しくなった。


昨夜、父は突然の病に倒れ、体と口の自由に動かせない状態になってしまい、今医師が診ていると答えた。